銀の書

□すけている気持ち
1ページ/2ページ

気付いたら目で追ってるとか、
今日も君に逢えるだろうかとか、
君の笑った顔が見たいとか、

馬鹿見たいに君の事ばかり考えてる俺はどーかしてると思う。








夏休みまであと2日。
メンドーなテストも今日が最終日で、
今日さえ越えれば夏休みが来たも当然になる。




俺は専ら毎年テストだけ参加。
出席日数ギリギリでも、
テストの点数さえあればどーにかなる。


「高杉ッ!お前の脳みそを私のと代えてやるアル。」

「願い下げだ。」


「授業でねぇーでテストだけイイ点とるなんて、ホントいけ好かねぇーやつでぃ」


「ふざけたアイマスで居眠りしてるお前が言うな。」


「でも、今回は違ったわよねぇー。高杉くん。」

沖田やチャイナ娘とのくだらなく、毎回代わり映えのしない会話に、
志村姉がすべてを知ったような作り笑顔でチャチャをいれる。

その言葉を筆頭にチャイナも沖田も腹黒い笑みを全開にして、肩をポンと叩いてきた。



コイツらなんだかんだで似てやがるから、厄介。


イライラと貯まってくるケージを押さえるようにしかとすると、


このくだらない流れの中に、
君の透き通るような声が混ざる。




『高杉くん!テストどうだった?』




俺はこの暑さで頭でも狂ったのか。
イライラのゲージは驚くほど低下していくのと同時に、ドキドキと、胸の心拍数は上がっていく。



「…あ、まぁまぁ。」




……こーゆうのは、ハッキリ言ってキャラじゃない。


どこぞの青春漫画の様に、アイツのおかげで学校に来るのが楽しみになったりとか、
話し掛けられたいと思ったりとか、
それによって気持ちを左右されるなんて、俺にはない。


今まで有り得なかったからこそ、断言出来る。




「あれぃ高杉ぃー。青春ですかねぇ?」




アイツに喋りかけられた今、俺の中で気持ちの上下運動が起こるハズない。


「ふふふ。高杉君でも赤くなるのね。」




考えただけで、体中の血液が顔面に集中するような現象がおこるワケはない。



バ カ バ カ シ イ 。



『た、高杉くん?!顔赤いケド…』


君の触れる手が……。

「触るなッ!」

伸びていた手が、ビクリとして俺から離れていく。

その目が見えなくて、
周りの非難の声も聴こえなくて、
総てをシャットダウンしたのに、





「アハハ。ゴメンね」




そんな君の笑った声だけが、妙にハッキリ耳にこびりついた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ