銀の書

□君色Complex
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ホントハ

シタクナイ

ハナシ――――









「最近お前多いよな、アイツの話。」



いつもの帰り道。


不意に出た彼女の名前に、直ぐに返事が出来なくて、

「お前ら仲イイよなぁ。いつも一緒にいるだろ?」


キミの口から次々と零れ出す彼女の話を黙って聴くことしか出来なかった。



あぁ、私と二人の時でさえアナタは表れるのね。




『可愛い後輩だから土方には渡さないからねえー。』

「あぁ?なんだよソレ。」




ホントは渡したくないのはキミだよ?






『だって土方の目がいつに増してオヤジッポイから……』


「ッテメェーいつに増してってなんだ?いつに増してって。」






何でこんなに近いのに気付かないの?






『えぇぇー土方自覚症状ないのぉー。キモ』

「あぁ、分かったぞ。お前今すぐ殴られたいんだな?」







何でこんなに近いのに伝えられないの?





『あっぶな!バカ土方ッ!!!』





言いたいのはそんな言葉じゃないの。






「バカはお前だ!たっく、早く帰るぞ。」



あぁ、弱虫な私。

この関係から踏み出せ無いから、言えないの。

あの子を裏切る訳にはいかないから、言わないの。



だから、

せめて、



せめて、





せめて、



もう少しこの関係でいさせて下さい。









でも、神様は意地悪で、


「先輩。私告白しようと思うんです。」


なんで、願いを聴いてくれないの?


『そっかぁー頑張れッ!』

馬鹿みたいに嘘ついて笑うから?






春、日暮にて





ひとりぼっちの帰り道。

幸せそうに歩くアイツとアノコを見ました。









豆知識サマ主催の企画「エキストラ」出典作品です。
ありがとうございましたッ!!!




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