血色林檎

□血色林檎
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「お歌をぉ
歌いましょう
血濡れた君のぉ
唇でぇ…」












気味の悪い歌だ










何処から?







誰が?


















「手足千切れた
君だけどぉ
それもまた
美しい
這いつくばって
もっと壊れて」















あぁ、畜生






















何処からか歌が聞こえる






腹に響くテノール音

その声は…




















「お歌をぉ
歌いましょう
君の苦痛と
その顔は

狂気にまみれて…
僕は
欲情する



………ククッ
…嗚呼、

狂喜、叫忌、
それは、
きょうき」
























気味の悪い歌が








聞こえる



















「あぁ、赤ってこんなにも綺麗だから…」


























歌い終えた影は
カシリ、と赤い林檎を一口かじった


その目は
思いのほか穏やかで…














「だからホラ…俺らにもこの“赤”が流れてる、なんて考えてみれば、興奮、するだろ?」










しかし
穏やかでない言葉がつむがれる












「あー…、アイツから流れる血は」








「どんなに綺麗なんだろ?」



























見たい






見たい















この手で
その首をかき切って




















【血色林檎】プロロ-グend
 

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