紅心王子

□ゆるいある1日
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テストも終わった次の土曜日。
家のことも大体終わったし、
今日はしとしと雨が降って
ちびっこ達もさすがに来ないだろうと
今日は店じまい!(っておばあちゃんが……)

おばあちゃんも病院に行っちゃったし、
スーパーの特売チラシも
そんな目星もなかったから……


あれ、今日はもう特にやることなくなっちゃった…。




ゆるいある1日




「ふぃー……」


とりあえず何もすることがないもんだから、適当にテレビをつけて、お茶とかお煎餅とかみかんとか用意して、こたつの中に入れば
ぬくぬく空間完成!
自分の部屋より快適なこの空間はどうもはまってしまうと抜け出せなくなってしまう。(これを誘惑とでもいうのだろうか)

「何見てんの?花」

ぬくぬく空間にジローが入って来た。先程まで寝癖でぼさぼさだった髪がひとまず奇麗におさまっていた。寝巻きは着たままだけど。

「んー、特に何も見てないよ?」

「なんだそれ」

「今つけたばっかだし、私見たいのないから見たい番組あるならジロー回してもいーよ」

「いや、俺も特に無いから…」

「そう?じゃあお茶でも飲む?」

「あぁ…」

そういってジローがこたつの中に入ってきた。これでぬくぬく空間の犠牲者がひとり増えた。

前もって用意してあったコップにお茶を注ぐ。
お茶を渡すと、みかんを食べてたジローがサンキュ、と言った。(たべながら言ってたからはんきゅ、って聞こえたけど)

暫くふたりしてぼけー、としながらテレビのニュース番組を見ていた。そして『今女子高生に人気のあるうんたらかんたら』と、テレビから流れてくるアナウンサーの声をふたりして右から左へ受け流す。
それとこれとは関係無しにふと、おもったことをジローに話かける。

「なんかさ」

「うん?」

「こういう時間、ひとときの幸せって感じしない?」

「は?何だそれ」

「この快適な空間でぬくぬくとぼーっとしていられる幸せな時間」

「(快適か…?)へー……」

「そんな感じ、しない?」

「うーん…。まぁ、そんな感じはしなくもない」

「でしょ?だから私ここをぬくぬく空間って呼んでるのー」

「そうか、アホだな」

「なっ!」

視線をずらされ、最後にふっ、だかはっ、とか鼻で笑われた。酷い。
ぷく〜、と顔を膨らましてジローを睨むが全く動じない。(寧ろ楽しんでる?)
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