過去から未来へ舞う翼

□第三章
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ナギさん達が着替えから戻った後、俺は暇潰しのために外の空気を吸いに行った



『それにしてもデッカイ庭だな〜。しかもお宝満載だし・・・』

ここの庭のお宝を全部売ったらとんでもない額になるな。
ひょっとしたらハヤテ君の借金がチャラになるかもしれないな

『ま、ハヤテ君が盗みを働くとは思えないし、その辺は大丈夫だろう』

ナギさん誘拐が笑いに変わるくらいハヤテ君は[持ってない男]だし

そんなことを考えていると・・・

「それが指し示す道の先にあるものを、お前が手に入れられたなら・・・」


「10億でも100億でも、お前は手にいれることが出来るだろう。この三千院帝が保証する」

どうやら、これはシリアスな場面らしい
迂闊に出ることは許されない
『(と言うか、今三千院帝って・・・)』

三千院って事は、あのおじいさんがナギさんの祖父ってわけか

『(見た目には普通の庭師のおじさんにしか見えないがな)』

まあ、人は見た目で判断しちゃいけないことは、ナギさん,ハヤテ君,マリアさんで証明済みだ



ハヤテ君が去った後、俺は思いきっておじいさんに声をかけた


『初めまして、三千院帝様』

「ん?お主は・・・」

『申し遅れました。自分、ナギ様の執事をしている、北條翼と申します。以後、お見知りおきを』


「・・・北條翼じゃと?」


『はい。それが何か?』

「お主。もしかして、あの北條彰の息子か!」

『!そうです!帝様は親父を知ってるんですか!?』

「知ってるも何も、あいつとは昔、色々語り合った仲じゃ。残念ながら葬式には行けなかったがの。すまなかった」

『そうでしたか。帝様はお忙しい身ですからしょうがないですよ。親父は死ぬ直前まで笑ってました』

「・・・そうか。あいつらしいな」

帝様は空を眺めて呟いた

「しかし、まさかあいつの息子がナギの執事とはな。あいつの言ってた通り、縁とは複雑なもんだ」

『ハハハ。自分でも驚いてます。まさか三千院家の当主ともあろうお方が、親父と知り合いだったなんて・・・』

本当に凄い人だな親父は
親父が神の使いとか名乗っても何ら不思議じゃないかもしれない

「しかしお主。どうやってナギと知り合ったんじゃ?」

『はい。実は・・・・・』












「なるほど。マリアを助けたことがきっかけじゃったか」

俺は帝様にナギさん達と出会った経緯をお話した
帝様は、色々質問しながらも、真剣に俺のお話しを聞いてくれた

『はい。本当に皆さんには感謝しています。それに、親父にも・・・』

「そうか。しかし、生と死の間の世界にあいつがいるとはな。死んでもよくわからない人間じゃな」

『ですね

息子である俺さえも、親父の事を理解していたとは言えない
それだけ、親父は特殊な人間だった

「あいつがよく口にしていた縁がお主とナギ達を繋いだとしたのなら、お主もまた特殊な人間なのかもしれないな」

『俺が・・・ですか?』

「確証はないがな。ただ、あいつが育てた人間なのだから、少なからず何かしらあっても不思議じゃない」

『・・・そんな自覚なんてないですけどね』

そんなものがあるなら、食べ物に困ってぶっ倒れたりはしないはずだ

「力と言うのは、ふとしたきっかけで目覚めたりするものじゃ。ただ、それに気づかないまま人生が終わってしまう奴もおるがな」

『・・・・・・・・・・』

「お前の親父が生かしてくれた人生じゃ。きっと意味がある。それを忘れるなよ」

『・・・はい!』

そう言って、帝様は本宅へ戻って行った・・・・・










「(彰よ。お主が助けたあの子の人生。ワシがしっかり見届けてやる。だから、お前は安心してあの世から見ているがよい)」



そういう帝の手には、翼の持っているロザリオと同じ物が握られていたのだった・・・・・
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