過去から未来へ舞う翼

□第一章
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1年の終わりが近づきつつある12月28日の夜・・・・・













『はぁ〜。こんな寒空の下で人生が終わっちまうとは・・・』

負け犬公園のベンチで一人少年はひとり呟いた・・・

『はぁ〜。どうせなら新年の日の出くらいは見たかったな・・・』

だが、それはどうやら無理なようだ

『ここ一週間、草と水しか食べていないし残金は0円だし・・・』

はっきり言って、もう歩く体力も気力もほとんどない
1週間休まずに歩き続けてきた体は悲鳴を上げていた

『・・・親父。どうやら俺もやがてそっちに行くかもしれない』

と、少年が呟いたその時だった・・・





「きゃっ」

近くから女性の悲鳴が聞こえた

『(おいおい。人が横になってこれから寝るところだっていうのに勘弁してくれよ)』

このまま放っておくこともできたのだが、彼はベンチから気力を振り絞り立ち上がった

『(困った人を見捨てたりしたら、あの世で親父からぶん殴られるだろうな)』

これも彼の性格なのだろう。
彼は声がした方に向かって歩き出した・・・・・














『どうかしましたか?』

見ると、女性が一人自転車の前で困っていた

「あっ、はい。自転車がパンクしてしまったみたいなんです」

『そうですか。ちょっと失礼しますね』

女性の自転車を見てみると、後輪がパンクしていた

『あちゃ〜。これは完全にやられてますね。早めに修理に出した方がいいですよ』

「そうですか。でもこんな時間じゃどこも開いていませんわよね」

公園の時計を見ると、21時を指していた

『そうですね』

このまま女性を一人で帰らせるのは、パンクした自転車を押しながらだと相当しんどいはずだ

『(・・・手伝うか)』

俺は、女性の自転車を片手で持ちあげた

「えっ?」

『ご自宅までお送りしましょうか?自転車を押しながら帰るのは大変でしょうから』

「そんな。悪いですよ」

『気にしないでください。こんな美人な女性のお手伝いなら誰だって喜んでやりますよ(ニコッ』

「っ///」

『(ん?女性の顔が赤くなった気がするな。風邪気味なのか?)』

※本人は無自覚です

「それじゃあ、お願いしてもよろしいですか?」

まだ、若干赤い顔をしながら女性は言った

『了解です。それじゃ行きましょうか』

そういって俺は歩き出した

「あ、あの!」

『ん?』

「そっちは逆です」

『・・・・・・・・』


こんな調子で大丈夫なのだろうか・・・・・?
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