●白日夢●

□オアシス
1ページ/1ページ




僕は水溜まりに落ちていった。


ざぶざぶ、

なんて音もせず静かなもんだ。

そうして溺れる恐怖心がやってきて、藻掻いて、走馬灯のように人生を視るんだ。

漠然と思ったけれど、時は来ず。


そうか、これは夢だ。

よく見たことがある。

海の中でも呼吸が出来る夢。

リアルに海に潜ったことなどない僕が、不思議とよく見るんだ。

あおい海のなかに漂う夢。

海はまるでグツグツとした魚介スープのようだから、浸かるのはごめんなんだけど。


けど、キラキラしてるから

あの太陽まで飛び魚と一緒にジャンプする。


あれ、そういえば

僕は今何処にいますか



急に苦しさが襲って来て喉が焼けそうに痛い気持ち悪い気持ち悪いぐるぐる回る僕も内蔵も血液も魂もぐちゃぐちゃにな







白い壁、天井、

揺れるカーテンいっぱいに射し込む光に包まれた。

僕はまだ生きていた。


墜ちてみて初めて、生きたいと思った。




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ