●白日夢●

□ビューティフルデイズ
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「あなたの脳の中身が知りたいの」


ノートパソコンに向かう僕の背後から忍び寄る、細い指は冷たくこめかみに触れた。

集中していた振りで実際呆けていた僕はびくりとし、大袈裟に椅子を揺らした。

いつもの君の悪戯だ。


「こうしている間にもあなたの頭の中では何かが起こってる。
きっと、そう」


変な方向に癖の付いた僕の髪を摘んで弄ぶ。

君はいつもおかしなことを言っては僕を悩ませるけれど、僕はきっとそれを待ち望んでいるのだから。

たちが悪い。


「至って普通の脳でございます」

「そうかしら…」


君の気配に頭を預けた僕は、悪ふざけに便乗したくなった。


「何しろ精密な仕様に作られておりますので。」

「やっぱり、人工物だったのね」

あなたはマネキンに似てるもの…

クスクスと笑いが頬を掠めた。

「ここだけの話。
僕の首の後ろには制御スイッチがあるのだよ」


「まぁ、すてき」


思惑どおり君は僕の襟足に触れてくれる。

このまま振り向いて、
キスしようか。





『カチッ』





味気ないプラスチック音


そして
僕の思考はフリーズした。




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