●恋詠小品●
□告白
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「好きです!」
「ウソでしょ?」
ありったけの想いをこれっぽっちの勢いに任せた私の告白は、瞬間で塵となった。
その距離、50センチ。
黒髪を揺らして笑顔のあなたには、何か完全バリヤーでも張ってあるのか。
こうして視線を合わせているだけで打ち震える、心臓は今に口から飛び出すに違いない。
本当に出たならば、ショックでそのバリヤーよ、消えてはくれまいか。
しかし早まるばかりの脈拍の中で、私は叫んでいた。
「…ウソです!!」
――こうして私の恋は終わった。
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