頂き物・捧げ物(ノベル)

□ホントの気持ち
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場所は戻り、再び現世―


一護はまだ布団を頭まで被った姿勢のままだった
そしてコンもどうしていいか分からず、ベットの横に正座していた

――と、開いたままだった窓からルキアが入ってきた

「っ!ねぇさぁぁぁん!(プギュゥ)グェッ…」

いつもの如く踏み付けられたコン…
そしてそれを丸っと無視してルキアは一護の方へと歩を進め、そして―
「一護、貴様に話があって来た。私の質問に答えてもらおう。」
と、布団を剥ぎ取った。

「っ…!?」
流石の一護も、ルキアがそこまで行動に移すとは思わなかったのか驚いているようだった





「…で、私が言いたいことは分かっておるな?」

一護をベットに座らせ、自分は仁王立ちという状態で話を切り出した

「あぁ…白哉のことだろ?」
「そうだ。一体どうしたというのだ!?」
「はぁ…兄妹揃って同じ質問かよ……白哉にも言ったけど、俺が飽きたんだよ。」
「飽きた…だと…?」
「おっ、反応も一緒なんな?」
と、からかう一護にルキアはキレた

「貴様っ!!いい加減にしろ!兄様はお前と共にいる事を屋敷の者に説得するのにどれほどご苦労なさったと思っておるのだ!?」
「はっ、さすが御貴族様だな!そうやって恩着せがましく言いやがって!いつ俺が頼んだ!?あァ!?」
「くっ、それが貴様の答えなのか!?今まで兄様に言った言葉は嘘だったと言うのか!?」
「だからそうだっつってんだろうが!さっさとその“兄様”の所へ帰れよ!」

鋭い剣幕でまくし立てる一護

「私の…私の知っているお前はそんな奴ではないはずだ!むやみに人を傷付けるような真似はしないはずだ!」
「あ"〜うぜぇなぁ!なんだ?ちょっと行動を共にしたくらいで俺を理解したつもりか?…くくっ、傑作だぜ!あ〜マジうぜぇ。そうやってテメェの作り出した『黒崎一護』ってのを俺に求めんじゃねぇよ!」

「……そうか…もう何を言っても無駄か…」
「ようやく帰る気になってくれたか?じゃあ兄様にヨロシクな?」
「あぁ帰る。それと…」
窓の縁に足をかけ、もう一度一護の方へ視線を向けた

「兄様はもう貴様の名前を聞くことすら嫌なそうだ。」

「…そうか、それは良かったぜ!くどく付き纏われたら堪ったもんじゃねぇしな!」


その一護の言葉を聞いてから、ルキアは部屋を出た






「…これで……良かったんだ……」


ルキアが消えた部屋で一護が小さく呟いた
それはまるで自分に言い聞かせるように――

「(一護……?)」

そしてその言葉を、一護とルキアのいつになく激しい口論に口を挟むことも出来ず、ひっそりと部屋にいたコンだけが聞いていた






一方、部屋を去ったルキアは考えていた

(私は…一護の呼ぶ『白哉』という温かい言葉が好きだった。兄様が呼ぶ『一護』という穏やかな言葉が好きだった。そして、二人寄り添っている姿が何より好きだった…。しかしもうそれは叶わぬのか……)
と。

しかし、ルキアには一つ確信があった
それは『別れを告げた理由は分からぬが、決して一護は本心から兄様との別れを望んではいない。』ということ

なぜなら、最後のルキアが言った言葉
あれは最後の賭だった
一護の本心を見極めるための

そしてルキアは一護の瞳が一瞬辛そうに揺らいだのを見ていた
そう、だからこそこの裏には何かあるのだ


「必ず突き止めてみせる。一護が本心を偽ってまで兄様にあの様な言葉を言わざるを得なかった理由を…――!」



そうして尸魂界へと帰っていった
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