名をくれた君を想う
□第六章
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~~小春side~~
夏目という人の子が姫様に名前を提案してから2週間ほどたった。
彼は相変わらず『お姉さん』と姫様を呼ぶが、妖達の間でだいぶ『咲弥』という名前が定着してきた。
「貴志。今日は私のお気に入りの場所に連れていってあげる。」
姫様も新しい名を大層気に入り、誰かに『花の姫 』と呼ばれるたびに訂正している。
もちろん夏目自身のことはさらに気に入っていた。
それにしてもお気に入りの場所とはどこのことだろう。
「こっちだ。」
あれ…?この道………
まさか姫様、あの場所に連れていくつもり!?
「ひ、姫様!
良いのですか!?あの場所に連れていって!!」