名をくれた君を想う

□序章
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「姫様、起きてください。姫様ー」

夕暮れ時、自分を呼ぶ声に彼女は目を覚ました。

「なに?小春。私は今とてもいい夢を
見ていたのだけど?この貴重な昼寝の時間を私から奪うつもりなの?」

姫と呼ばれた彼女の丁寧な、しかし冷たい声に彼女を呼んだ小さな女の子の妖、小春はびくりと体をすくめた。

「た、大変なんですよ。姫様が先程の会合から突然居なくなるから、皆大慌てで探してて…。
でも私は姫様の言いつけがあるから、『花の姫はお昼寝をしに帰られました』なんて言えなくて」
「それ、私の言いつけが無くても言えないでしょ・・・まぁ、別にいいでしょ。勝手に探させておけば。そのうち見つかるだろうし」

彼女、花の姫はいかにもどうでもよさそうだ。
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