テニスの王子様

□キラキラなみだ
2ページ/2ページ





懐かしい思い出を私は朦朧とした意識のなか思い出していた。
動かない体、酸素マスクのせいで荒く聞こえる私の息。
センセーとお母さんとお父さんが何かを話してるけど聞こえないや。
でもお母さんの泣き声が微かに聞こえた。
なんとなく私でもわかったの。



私きっともう死んじゃうんだって。



(もうちょっと、お母さんやお父さんといたかったな)


(それと、もっともっと精市お兄ちゃんと遊びたかったな)





あれ?なんだか手が温かい。
閉じかけてた瞼をあげると精市お兄ちゃんが私の手を両手で握ってた。
目が合ったら、お兄ちゃんは泣いてた。
涙がポロポロ流れて握られた手に降り注いでいた。
熱を帯びた雫は、すぐに冷たくなっていくの。




「ぉ・・にぃ、ちゃ」



「ゆずちゃん・・・ッ」





会いたかったお兄ちゃん。
嬉しくて涙が流れた。
精市お兄ちゃんの綺麗な涙は止まらない。
お兄ちゃんお兄ちゃん、今日だけは笑ってくれないかな?
いつも泣きながらだったけど
今日はとびっきりのお兄ちゃんの笑った顔がみたいよ。お兄ちゃん・・




「・・・・笑っ・・・て・・・?」




聞こえたかな?もう何も聞こえないけど
お兄ちゃんは少しうつ向いて顔をあげたの。
とびっきりの笑顔で私を見てた。
キラキラの太陽、キラキラの宝石
お兄ちゃんの笑顔はもっとキラキラで綺麗だった。
もう満足だよ私。もう瞼を閉じるね。



(ありがとう、お兄ちゃん)



精一杯口は動かしたけど、きっと声は出てないんだろうな。

楽しかったよ、お兄ちゃんのおかげで。
だから、またね。
さよならじゃないよ?また明日。




「 ゆずちゃん、 ゆずちゃん・・・・!! 」






お兄ちゃん、好きよ。



だから、また明日も遊ぼうね。








end
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ