Boys Love
□奪ってしまおうか。
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ふわりと空を舞うその姿に
僕は一目惚れしていた。
初めはただ、綺麗なテニスをするんだなぁ、と興味が湧いただけだった。
僕もいつか彼と試合してみたいって思ってただけだったんだ。
いつからだろう。
興味が好意に変わったのは。
気付いたら、あの赤いハチマキの彼の事ばっかり考えていた。
「あ、」
「やぁ、木更津君。」
「裕太の…お兄さん?」
裕太への届け物を渡すのも兼ねて、僕はルドルフの寮に来ていた。
あまり来た事がないから、道に迷っていたら運良く、僕が会いたかった木更津君に出会った。
ちょっと驚いたような顔をしている。
当たり前かな、だって見かけない人が寮内に居るんだからね。
「裕太に届け物があるんだけど…裕太は居るかい?」
「まだ部活で残ってるんじゃないかな?…少し待てば帰ってくるよ。」
「そっか、ありがとう。」
礼を告げてから、仕方ないから入り口まで戻ろうとしたら。
「僕の部屋で待ってたら?裕太のお兄さんと色々話したいし…クス」
願ってもない幸運だ。
僕は「じゃあ、遠慮なく」と言って木更津君の部屋へ入った。