BATTLE TENNIS ROYALE
□風が吹き抜ける場所で
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なんで俺達はこんなゲームをしているのだろう。
「日常」からかけ離れた「非日常」な生活をあとどのくらい続ければ
こんな馬鹿げたゲームをクリアできるんだろうか。
「長太郎!ぼさっとしてんじゃねぇ!」
宍戸さんの怒鳴り声で今は銃の撃ち合いの中であったと気づいた。
「すみません」と俺は謝り銃に弾を詰めていく。
発砲音が飛び交う中、廃屋の壁に身を潜め宍戸さんの怪我の治療をする。
「さっきは…すみませんでした…」
「そんなに気にすんなって。」
傷口が痛むのか少しぎこちない笑顔で宍戸さんは言う。
銃弾を掠めた宍戸さんの腕に包帯を巻いていく。
止血しきれない鮮血が巻いたばかりの真っ白な包帯に滲んでいた。
「サンキュ、長太郎。」
そう言って宍戸さんは少し乱暴に俺の頭を撫でる。
宍戸さんは笑顔を絶やさない、本当は泣きたいはずだろう
目の前でジロー先輩や向日先輩を失ったのだから。
きっと俺の為に笑っているんだ。
無理させてごめんなさい宍戸さん。
「宍戸さん…」
「どうした、長太郎…?」
─── 殺して下さい。
宍戸さんの手に銃を握らせた。
宍戸さんは涙を流しながら「嫌だ」と震えていた。
俺のせいで宍戸さんが傷付く姿を見たくないんです
宍戸さんはプライドが高いから俺の前では泣けないですよね…
それに貴方は後輩想いだから俺を不安にさせないようにと
泣きたい気持ちを我慢している。
そんなに我慢しないで下さい
宍戸さん、泣いて下さい。
にっこりと俺が微笑むと
後輩想いの宍戸さんはゆっくりと銃を俺に向けた。
───また、ダブルスやろうな。
end