BATTLE TENNIS ROYALE

□最後の氷帝コール
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「見つけたぞ、ジロー。」




背後から聞き慣れた声。
振り返ればよく知っている姿がそこにはあった。
身体全体にはあちこちに紅いシミが飛びちっていて
全て返り血であると分かる。
右手には俺の持っているのと同じ形の一丁の黒い銃が握られていた。



「跡部…皆殺しちゃったの…?」



聞かなくても、目に見える現実。
さっき放送で流れた残り生存者は後2名。
そう後は俺と跡部だけ。



「……すまねぇ」



跡部らしくもなく、うつ向いてそう呟く。
泣きたくなるような、この現実を前にして涙がでないのは
きっと大切なものを失いすぎたから
悲しさがでかすぎたからだ。




「跡部、俺ね…跡部の事恨んだりとか憎んだりしないよ?」



「皆を殺したのにか…?」


「うん、だって跡部は悪くないもん」



今できる精一杯の笑顔で笑ってみる。



だってね、俺知ってるよ。
忍足も岳人も亮も、鳳や日吉に樺地だって
皆、皆、跡部を信じてた。
皆に頼まれて、跡部が泣きながら皆を殺したのも知ってるから。


だから、跡部は悪くない。




「ジロー、ありがとう。」



泣いた跡部なんて珍しいから
もっと見ていたいけど、そろそろ時間が無い。



「跡部、終わりにしよう?」



俺は笑顔を崩さないまま、握りしめていた銃を自分の頭に突き付けた。


そう、勝つのは1人だけ。






「ジ、ロー…?」




「勝者は跡部、だろ?」





引きがねを引いた。








END

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