テニスの王子様

□キラキラなみだ
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彼は泣くの。いつも泣くの。私を抱きしめて。


彼の笑顔が好き。笑ってる顔が綺麗だから。
彼の涙は嫌い。でも彼の涙は綺麗なの。


泣きながら笑った彼は、とってもとっても切ない程に綺麗だった。


彼は今日も、遊んだ後に私を抱きしめて泣くの。





「また泣いてるの?」


「うん、ごめんね。」


「ううん、大丈夫。私お兄ちゃんが好きだから。」


「・・・ありがとう・・・。」


「お兄ちゃん?」


「・・・なんだい?」


「涙はなくなった?」


「うん。今日はきっと、もう泣かないよ。」


「そっか。よかった。」


「今日は二人で笑っていようか。」


「うん。」





精市お兄ちゃんは、本当のお兄ちゃんじゃなくて病院で知り合ったお兄ちゃん。
優しいお兄ちゃんは毎日遊びに行く私の相手をしてくれたの。
私とお兄ちゃんの同じ所は、とっても強い病気とたたかっていること。
お兄ちゃんの髪は綺麗だった、私には髪なんてなかったから羨ましかった。


キラキラの藍色っていう色の髪。
光るダイヤモンドみたい。


手編みでできたニット帽が私の相棒。
お兄ちゃんはニット帽の上からよく、私を撫でてくれる。




「お兄ちゃんお兄ちゃん」


「なんだい?」


「大丈夫?」


「え・・・・?」


「だってお兄ちゃん」



『涙が流れてるよ。』



お兄ちゃんは、笑っていようって笑顔だったのに、また笑いながら泣いてるの。



「お兄ちゃんお兄ちゃん」


「うん・・・ごめんね。」


「泣いてもいいよ、泣いてもいいから、我慢しないで・・・・?」


「・・・うん、ありがとう」


「お兄ちゃん。」


「・・・うん?」



「大好きだよ。」




そう言って、私はちょっと大人のマネして
お兄ちゃんのほっぺにちゅーをした。

微笑んだお兄ちゃんがとっても綺麗だった。
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