テニスの王子様

□だって好きなんだ。
1ページ/1ページ







「ゆず先輩、太りました?」




「な!?寒いから厚着してるだけだよ!」




氷帝テニス部のマネージャーとして今日もレギュラーのジャージを水洗いして来たところだった。

こっちは凍えながら仕事してるのに、まったく日吉君は意地悪だなぁって思う。




「はぁ…寒い寒い」



「そんな厚着してるのに寒いんですか?」




そりゃまぁカーディガン着てジャージも着てるけどさ
テニスして走ってる訳じゃないから日吉君達みたいに平然じゃいられないよ。




「そんなに寒いなら本当に太ったらいいでしょう、暖かいと思いますよ。」



「嫌だよそんなの…」




苦笑いで返す私をみて、日吉君は軽くため息をついて
そっと私を抱き寄せた。




「ちょ、日吉君!」



「じっとして下さい」




いきなりの事で頭がパニック。
私はただじっと身体を固めた
ぎゅっと日吉君の腕に力が入ったのが分かった。




「暖かい、ですか?」



「と…とっても暖かいよ。」





頭の上で小さく「いきなりすみません」と悲しげな声が聞こえ
「ううん、ありがとう日吉君」
そう言って私も彼の背中に腕を回した。





「でもちょっとびっくりしたよ〜、」



「だからすみませんでしたよ」



「暖めたいから抱きしめたてくれたでしょう?」






「ちょっと違います……ゆず先輩が、好きだったからですよ。」





「!…私も好きだよ…ありがとう。」






意地悪な彼が今は真っ赤な顔をして私を力強く抱きしめている。
回した手で優しく彼の頭を撫でてみる
『可愛い』なんて言ったら絶対怒るから止めておこう。







END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ