テニスの王子様

□愛しても、いいですか?
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「おはよう、ゆずさん」


「おはようございます、鳳さん。」



今日も良い天気ですね、と彼女は笑う。
秋が終わりかかった外の空気は、異常に寒くて
彼女の口からも俺の口からも白い息が出ていた。


「ふふ…」


「何笑ってるの?」


「鼻が赤いです、トナカイみたいですよ。」


寒さのせいで赤くなった鼻をみて彼女が笑い続けるから、俺も一緒になって笑った。


俺は彼女に恋をしている。叶うはずのない恋を。
諦めたら負け、テニスでも恋でも…
分かってる、分かってるけど。
彼女は宍戸さんに想いを寄せ、宍戸さんも彼女に想いを寄せている。



二人とも俺の大切な人だから
俺はこの想いを閉まっておくんだ。





「鳳、さん?」


「何?」


「心個々に在らずって顔してましたよ?」



「心はあるよ」って苦笑いしながら
また彼女との何気ない会話を続ける。
彼女が笑う度々に閉まい切れない思いが俺を苦しめる。


本当は好きだ、なんて言った所で
ふられるのが目に見えてる。




ズキ
痛い




ズキ
苦しい




ズキン




やっぱり好きなんだ。







「お、鳳さん…?」


「え…?」


涙が頬を伝うのが分かった。


「どうしたんです…!」


抱きしめて、軽く口付けた。




「俺は、ゆずさんが好きです…」








大切な二人を傷つけてしまう気がした



それでも俺は





「愛しても、いいですか?」





end

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