隠し部屋
□絶滅危惧種
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都会から離れ森の中を走ってしばらくして建物の4階ぐらいありそうな
大きな白い門が見えてきた。
その門の守衛さんは女性で手が8本もあり、口からは鋭い牙が出ている。なんと大蜘蛛という妖怪だ。
その妖怪に職員カードを見せると守衛はあの大きな門を素手で押し開けたのだ。
「すごっ」
「あの妖怪は力持ちだからね」
門がすべて開くと車を走らせ敷地に入る。
そこは広く綺麗な庭園が広がり、景色をうっとりと眺めているとイギリスの別荘みたいな建物の前に車を停めた。
「さ、降りて!ちなみにここ玄関だから」
ニヤリと笑う。
そこ言葉にリルは目を見開いて驚いた。
「ここが玄関!?」
「そっ」
安岐は颯爽と中に入ると受付に声をかけた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です。…ん?その子はもしかして」
受付の男性はすぐにリルに気づく。
「そうよ」
男性は安岐の返答にリルに笑いかけた。
「よく来たね。楽しんでね」
「はい!」
「じゃ行くわよぉ〜」
軽い挨拶が終わるとすぐに中に入っていく。
「ここでは中に入るのに全身を消毒して作業服に着替えるから」
「わかりました」
青い扉が並んだ廊下に出ると説明される。
「知っての通り、貴重な生物を保護してるから病気を持ち込まないように徹底してるの。面倒だけどよろしく」
「やっぱりすごいんですね」
「ふふっ。じゃあ扉の中に入ったら全裸になって」
「全裸ですか!?」
「そうなの。面倒でしょ」
リルは確かに面倒そうなのだと苦笑いする。
「全裸になったら次の扉に進んで、ドアを閉めたら消毒液がミストになって部屋の360度から噴出されるから満遍なく体の隅から隅までかかってね」
「はぁ」
「それが終わったら次のドアを開けて、用意してある服に着替えて終了」
「わかりました」
「じゃ、また後でね」
「はい」
安岐がドアを開けてあげてリルが中に入ると閉める。
リルは少し緊張しながら全裸になると次の部屋に入った。
そしてドアを閉めると説明があった通りミストが噴出しだした。
「うぷっ!」
本当に天井から壁、床の360度から出てくるので驚いた。消毒液なだけあって少しツーンとする匂いがする。条件反射ですぐに目を閉じたおかげでしみることは防ぐことができた。
「(……まだかな)」
『股を大きく開いて下さい』
「え!?」
突然の電子音のアナウンスが入るがその内容に声をあげた。
『股を大きく開いて下さい』
「そこまで消毒するの!?」
『股を大きく開いて下さい』
どうしようかもじもじしていると再度アナウンスが入る。
これは言う通りにしないといつまでも流れそうだ。それに安岐さんを待たせてたら悪いなと思い渋々股を肩幅ぐらいまで開く。
すると床から細長いものが出てきて、シューーとミストをかける。
「きゃっ!!」
かけられた瞬間、後ろにと飛び逃げた。
『完了しました』
リルは初めてそんな所まで消毒されてドキドキと驚いて早鐘を打つ心臓を抑えた。
「……面倒というよりここまで徹底してどうするのって感じ」
そこまでしてまで守らなきゃいけない生物って何?
疑問に思いながらドアを潜るとそこには病院服のような簡素な服があった。
しかもズボンがなく膝上の丈のワンピースタイプのようだ。
「これはちょっと恥ずいな。
ん……?あれ?えっ?下着は?」
服の置かれた棚など探しまわるが下着がない。
「もしかして用意し忘れ?下着なしでこの服で出るの?……マジで恥ずいんだけど!」
どうにかできないかわたわたしてもかわらない。裾を軽く引っ張りながらそぉ〜とドアを開ける。
するとまた部屋があった。
「また部屋?えっとここではどうすればいいのかな?」
キョロキョロと見渡しとりあえず次のドアを探す。
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