隠し部屋

□食事2
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中世ヨーロッパの貴族を思わせる、ロココ調のゴージャスなインテリアの部屋で、巨大な窓の前に数桃色の透けているネグリジュを着たリルが外を眺めているとドアをノックする音が聞こえた。
返事をする前にドアが開き、そこには食事を載せた盆を片手に赤い瞳の話すじのスっと通った容姿端麗な吸血鬼、フェリルが立っていた。

「食事を持ってきたよ。しっかり食べなさい」

リルは無言で窓から離れ、食事テーブルに着席すると、目の前に料理を置いていく。
起き終わると向かい側に座ってニコリと微笑む。

「召し上がれ」

「………いただきます」

フェリルは何をするでもなくリルの食事している様子を眺める。
暫く無言の1人だけの食事が続いた。

「あの……」

「ん?」

「何かお手伝いできることってありませんか?」

「手伝い?」

首をこてんと傾げて聞く。

「えっと……やることがなくて暇なんです…」

リルは料理に視線をやり、フェリルを見ることなく話す。
しかしそれを気にすることなく返答する。

「別にないかな。メイドが雑務をしているし、君には健康にいてもらうことが大事だ」

「……わかりました」

リルは食事を再開し、食べ終わるまで食器のカチャカチャ音しか響かない。
綺麗に食べ終わるのを見ると、リルの頭を撫でて部屋を出ていった。

「ふぅ………。適度な運動以外、部屋から出してもらえない………。暇だわ」

初めて屋敷に向かい入れられ、初物を散らしてからフェリルは3日1回だけ吸血をしてくるだけで、夜は毎晩一緒に寝ているが何もしてこないのだ。
身体を求められないことに安堵している。
しかし何が男の逆鱗に触るかわからない。
大人しくしておくしかないのだ。

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