隠し部屋
□生きる糧
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私は今年大学3年生になった。この芸術の大学は山と海が近くモチーフには困らないことが魅力的だ。
私は油彩を専攻していて、主に風景を描いている。
黒いツナギを着て、紙パレットに油絵の具を出して筆で混ぜ合わせて色を塗る。
窓を開けて換気をしても油の独特の匂いが立ち込めるアトリエは、一般の人には臭いだろうが私には落ち着く空間だ。
「リルぉ〜、今度の展示場所が決まったよ!」
親友が大股で近寄り制作している私に朗報を告げた。
「聞いて驚け!なんとここだぁーー!!」
手に持つプリントを渡していい放つ。
私はその内容を見てテンションを上げた。
「うっそ!ここって超人気の場所じゃん!」
「そうなの!表通りの人通りが多くて、しかも学生には格安で貸してくれる展示会場!!」
「ヤッター!作品サイズは!?」
「50号までで20人展示するんだって」
「マジで!?」
「マジで!」
2人はテンション高くその場を駆け出すと会場を取ってくれた鬼丸さんに抱きついた。
「「愛してるーー!!」」
「うっさいわ!私に抱き付く暇があるならモチーフ探してスケッチしてこい」
「「つれないあなたも愛してるぅーー!」」
「さっさと行けぇーー!!」
キャッキャッとはしゃぎ鬼丸さんから離れると私は帰り支度を始めた。
「あれ、今日はもう授業ないの?」
「うん。描きたい所はもう決めてあるからスケッチしに行く」
「取りかかり早っ」
「ということで去らば!」
足早に大学を出て、バスに乗り自宅近くまで行き、バスを降りて自宅までの道の途中にある神社を目指す。
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