※四年後破屁で姫始め


※Rではあるが大した内容じゃないです









姫始めは一月二日にするのが正式なものだと教わったので。





「だからちゃんと待ってたんだぜ?」
「そんなところで健気さ発揮してんじゃねぇよ!」




年が明け、元旦である一月一日もほんの数分前に終わりを告げた。現在は一月二日、午前零時十七分。何故かヘッポコ丸は、日付が変わった瞬間に破天荒に押し倒され、問答無用の愛撫を受けていた。食べかけの雑煮が机に取り残され、立ち上がる仄かな湯気がゆらゆらと揺れている。





大晦日から正月三が日まで纏まった休みを取ることの出来た二人は、一緒に年末の大掃除をして、年越しそばを食べて、カウントダウンをして、初詣に行って、お節料理(市販の物)を食べて…と、ごく普通の正月を堪能していた。その間、破天荒がヘッポコ丸に手を出すことは無かった。








おかしいなと、確かに疑問に思ってはいた。四日間も一緒に居るのだから、普段すれ違ってばかりだった分、もっとがっついてくるものだとヘッポコ丸は踏んでいたのだ。しかしその予想が外れてあまりに平和な正月を過ごせているため、ヘッポコ丸は首を傾げるばかりであった。だがそれをわざわざ追求するのもバカらしいので、ヘッポコ丸は放っていたのだが…。




しかし蓋を開けてみればどうだ。少し聞きかじった程度の話を面白がり、律儀に実行に移す時を今か今かと待ち望んでいただけだったのだ。日付が変わった瞬間に嬉々として食らいついてきたのが何よりの証拠である。





「良いじゃねぇか姫始め。お前も好きだろ?」
「別に好きじゃなっ…ん、ぁ…」





再三の愛撫ですっかり屹立していた自身を撫でられ、ヘッポコ丸はびくりと身体を震わせ喘いだ。言葉でどれだけ拒絶の言葉を吐こうが、破天荒に開発された身体は浅はかに、快楽に従順になってしまっている。意思と身体は相反し、それが余計にヘッポコ丸を高ぶらせていく要因となる。







ヤられっぱなしで大人しくしているような素直さなど二年程前に捨て去ったヘッポコ丸は、負けじと破天荒の自身に指を絡ませる。既に互いの衣服は全て無造作に床に放置されているため、なんの障害も無く愛撫を施せた。ヘッポコ丸の痴態を眺めていて充分興奮したのか、それはヘッポコ丸のモノに負けず劣らず屹立していた。






ヘッポコ丸の手が織り成す愛撫に少し息を詰めながら、破天荒はヘッポコ丸のナカをかき混ぜていた指の本数を一本から二本に増やす。快楽に絆されたヘッポコ丸の身体は程良く弛緩し、破天荒の指を易々と受け入れる。寧ろ足りないと言わんばかりにその指を締め付ける程だ。




「あ…あ、あぁ…ん、ぅ…」
「なんだかんだ、楽しんでんじゃねぇか」
「う、るさぃ…黙って、しろよ」
「お望み通りに」





茶化すような言葉のすぐ後、破天荒は指を三本に増やした。ナカで指を広げ、内壁をバラバラに刺激して更なる快楽をヘッポコ丸に与える。その内の一本が前立腺を引っ掻いたらしく、ヘッポコ丸は面白いぐらいに身体を跳ねさせて嬌声を上げた。先走りが少し先端から飛び出し、自分の腹を汚した。








ヘッポコ丸の手が止まるのは早かった。快楽に飲まれ、もう破天荒を気持ち良くさせるまでに思考が追い付かなくなってしまったのだ。ただ添えられるだけに留められたヘッポコ丸の手の中で、破天荒の自身はドクドクと脈打っている。伝い落ちる先走りをヘッポコ丸の手に擦り付け、その摩擦で得られる刺激に熱い息を吐き出す。その吐息は、ヘッポコ丸の耳にも届いていた。









互いの興奮が否が応でも伝わる。ヘッポコ丸の手の中の破天荒自身から、破天荒の指を締め付けるヘッポコ丸の秘部から、上がる嬌声から、乱れる髪からさえ、高まる性欲が互いを浮つかせる。汗が玉になって肌を滑り落ち、床を汚していく。しかし床を汚すのは汗だけではない。解すのに使われたローション、閉じることを忘れた口から零れた唾液、興奮のあまり止まらない先走り、それらが床で綯い交ぜになっている。身を捩る度に肌に触れるそれは、不快な筈なのに何故か気持ちいい。










ヘッポコ丸はもう限界だった。散々の愛撫を受けて、全身が火照って仕方無い。すっかり破天荒に慣らされた身体は、破天荒を求めて止まなかった。姫始めだとかそんなの、もう関係無い。今は一刻も早く、破天荒が欲しかった。指だけじゃ物足りない。早くこの手の中の楔を、自分のナカに穿ってほしかった。




「あ…はや、くっ…」
「ん? なんだよ」
「だ、から……や、あぁ!」
「なんだよ、ハッキリ言えって」





恥を忍んで強請ろうにも、確信犯な彼はわざと前立腺を刺激し、ヘッポコ丸の言葉を遮らせる。爪でなぞり、それによって齎される快楽に身悶えるヘッポコ丸を見て楽しんでいる。破天荒だって早く繋がりたいだろうに、その欲求を抑えてまで、快楽に鳴くヘッポコ丸を視姦することを選び、愉悦に浸っていた。



断続的な愛撫は、しかし決定的な快楽を与えてはくれなかった。快楽に敏感になった身体はすぐにでも絶頂に達してしまいそうではあるが、破天荒は巧みに加減し、ヘッポコ丸を絶頂へ誘いはしなかった。ただただ熱を高められるだけ。ただただ女のように鳴かされるだけ。





物足りない刺激に耐えられず、ヘッポコ丸はブンブンと頭を振る。ほどけた髪がパサパサと音を立てながら、興奮によって熱くなっている空気をかき混ぜた。





「やだ、やだぁ…は…も、限界っ…んっ、や、あぁ…」
「無理か?」
「無理、ぃっ…」
「しょうがねぇなぁ」





やれやれと言い出しかねない雰囲気だが、裏腹に破天荒の表情はとても楽しそうだ。散々ナカをかき回していた指を引き抜き、自身を数回扱いてから、そこにピタリとあてがった。待ち望んでいた熱に、ヘッポコ丸の身体は無意識に歓喜に震えた。漸く中途半端に燻り続ける熱が取り除かれるのかと思うと、ナカが破天荒を求めてひくついた。





「雑煮があるから餅プレイも良いかと思ったけど、それはまた今度な」
「んな特殊なプレイを強要す……あ、あああぁ…!!」






抗議の言葉を遮るように、破天荒は勢い良くヘッポコ丸のナカに侵入してきた。突然の強い圧迫感に、ヘッポコ丸はたまらず声を上げた。狭い内壁を押し広げるかのように奥へ奥へと進んでいくその衝撃に、ヘッポコ丸の自身から白濁が飛んだ。先程零れた先走りとは明らかに違う量であったため、耐えきれず絶頂を迎えたことは明白だった。






それに気遣う様子もなく、破天荒は尚も腰を進めていく。ヘッポコ丸がイった余韻に浸っている間に、破天荒は自身を全て挿入し終えてしまった。






「う、あ…」
「挿入れただけでイったのかよ」
「ほっとけ、よ…お前が、焦らしてばっかなのが、悪い…」
「ワリィワリィ。んな怒んなよ」





チュッと唇に口付け、あやすように髪を撫でる。汗で張り付いた前髪を払ってやると、ヘッポコ丸は呆れた様子で小さく笑った。









手を伸ばし、破天荒の首にしがみつく。そのまま、今度は自分から破天荒の唇に自分の唇を押し付けた。小さなリップ音を立ててすぐに離れた唇に、破天荒が追いすがる。また重なった互いの唇。どちらからともなく差し出した舌を絡ませ合い、濡れた音を響かせながらキスを堪能する。





「ん…」
「…ねぇ、動いて…」
「あぁ…っ」
「んあっ! はっあ、ああぁ…!」





途端に開始された律動に、ヘッポコ丸は高い声で喘いだ。最初から出来ていなかった我慢が余計に歯止めが利かなくなって、ただただ翻弄されるばかりだ。揺さぶられ、熱を穿たれ、狂ってしまいそうな快楽に襲われ、ヘッポコ丸は鳴き続けるしかなかった。








どれだけ長く一緒に居て、飽きる程に身体を重ねても、快楽に柔軟になれなかった。与えられる熱も、悦楽も、毎回毎回異色を放ってヘッポコ丸を食い散らす。破天荒に散々淫乱だと揶揄されたが、こんなものに慣れるわけあるかと逆に開き直っている。気持ちいいことは嫌いじゃない。異色の熱や悦楽を、ヘッポコ丸は内心楽しんでいたりする。









ギリギリまで引き抜かれ、勢い良く押し込まれる。たったそれだけの単調な動きなのに、ヘッポコ丸はその度に生まれる快楽に嬌声を上げ、背を弓形にしならせ、涙を零した。一度絶頂を迎えた筈の自身は再び屹立し、二人の腹の間でゆらゆらと揺れていた。固く張り詰めたそこは既に限界が近いようで、ダラダラと先走りを垂れ流していた。





限界が近いのは破天荒も同じらしい。すっかり荒くなった呼吸がそれを物語っていた。





「あ…ぁ、うぁ…!」
「はっ…そろそろ、出すぞっ…」
「んんっ! ふ、うぁ…やっああぁ!」




ヘッポコ丸の返事を聞く前に、破天荒は律動を早めた。激しく揺さぶられ、ヘッポコ丸は必死に破天荒にしがみつく。肩に流れる髪を数束握られ、破天荒は一瞬痛みに呻く。が、それはすぐに快楽に呑まれて霧散していった。痛みすら巻き込んでしまう強い快楽は、双方を絶頂に導いていく。





フィニッシュだと言わんばかりに、破天荒は勢い良くヘッポコ丸の前立腺に自身を叩き付けた。途端に身体中を駆け巡った快楽はとてつもなく強いものだったようだ。ヘッポコ丸は声にならない声を上げ、本日二度目の絶頂を迎えた。




イったことにより秘部で締め付けられ、破天荒も数秒遅れて精を吐き出した。勿論ヘッポコ丸のナカに、である。ゴムも何も付けていなかったため、直接ぶつけられる精の熱さにヘッポコ丸は身震いし、自身から残滓を散らした。










互いに荒い呼吸を繰り返し、イった余韻に浸る。ヘッポコ丸は完全に力が抜けてしまったのか、しがみついていた腕は離され、無造作に床に投げ出された。破天荒はそんなヘッポコ丸の額にキスを落とし、ズルッと自身を引き抜いた。糸を引く精液が妙にやらしい。





「あー…あちぃ」
「俺はダルいっての…」
「楽しんでたくせに」
「五月蝿い黙れ。新年早々死にたいのか」
「はいはい、怖い怖い」





欠片もそんなこと思ってないのが丸分かりな受け答えをしながら、破天荒は放り投げていた衣服の中からズボンだけ掴んで身に付けた。そのまま部屋を出て行ったかと思えばすぐ戻ってきて、その手には濡れタオルが一枚。どうやら今日はもうこれ以上しないらしい。




一回の交わりで済んだことに内心ホッとしながらも、ヘッポコ丸は疑問を抱く。いつもならそのまま二回三回と容赦なく自分を抱くくせに…と。





「今日はもうしないの?」





疑問に思いすぎたため、ヘッポコ丸は直球で問い掛けた。端から聞けばまだ物足りないと言っているのと同義だが、ヘッポコ丸はそれに気付かない。…そして多分、破天荒も、気付かない。






「これ以上したらいつもと同じになっちまうじゃねぇか。姫始めってのは、新年明けて最初にするから意味があるんだよ。んな二回も三回もやってたら普通すぎて泣けるわ」
「言ってる意味はよく分かんないけど、お前が良いならそれで良いや」







差し出された濡れタオルを受け取り、べたつく身体を拭いていく。まぁこの程度で何も満足出来ないのでどうせシャワーを浴びるのだけれど。それでも不快感は取り除けたので、素直に破天荒の気遣いに感謝した。





「今年もよろしくな」
「……え、このタイミングで言う?」
「気にすんな」
「………うん、よろしく」





なんとも気の抜けたやり取りではあったが、とりあえず、今年も平和に年が明けた。二人もこれまで通り、仲睦まじく日々を過ごしていくのだろう。…姫始めを糧に。













そして、始まる
(じゃあ明日は餅プレイな!)
(しねぇよ! つかそれどんなプレイだ!)





たったこれだけのエrゲフンゴフンを書き上げるのにどんだけ時間かかってんだよ俺。姫始めは二日にするもんだっつの(現在五日)。



そういえば、俺初めて姫始めネタ書いたわ。もう六年もサイトやっておきながら初だわ。わービックリ(嘘付け)。さておき、皆様ハッピーニューイヤー! 今年もよろしくです!





栞葉 朱那

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