※2013ver.赤降の日記念

※R指定注意

※大学生&同棲設定

















枕元の時計は夜中の零時を半分程過ぎた時刻を指している。その時針を睨み付け、自分のベッドの中で、降旗はとてもとても…困っていた。




眠れないのだ。今日もいつも通りハードな練習をこなして(勿論、高校時代よりは楽だったが)、体は疲弊しきっているはずなのに、眠気が襲ってこないのだ。布団に入ったのが十一時前。もうかれこれ一時間以上、布団の中でもだもだと寝返りを繰り返しているのであった。









どうして眠れないのか分からない。…でも、眠気が襲ってこない理由は、分かっていた。





「もう…なんで…」





膝を折り、下半身を隠すように手を持って行く。そこは明らかに、熱を持っていた。布団に入るまではなんの兆候も無かった筈なのに…何故か布団に入って少ししてから、自分の身体に違和感を抱いた。その違和感は、明らかに欲情。驚いて下半身を見やれば、微かに起ち上がる自分のモノがあった。降旗はビックリしたが、気にせず寝てしまおうと考えた。キツく目を瞑り、ひたすらに眠気を待った。






しかしその努力虚しく、身体が抱いた違和感は無くなることはなく、それどころか時間が経つにつれてより明確になっていったのである。必死に意識を散らそうとしても無駄で、身体を少しずつ少しずつ――熱が駆け巡っていく。




「………」




もう、限界だった。降旗は眠ることを諦め、ゆっくりとベッドから降り立った。そしてそのまま部屋を出る。みっともない前屈みでの歩行だったが、今は夜中で、ここは自分の部屋だ。誰に見咎められる心配は無かった。




部屋を出て、向かいの部屋の扉をノックする。しかしこんな深夜だ、案の定返事は無い。もとより期待していなかった降旗は、部屋の主の返事を待たずして扉を開け、中へと足を踏み入れた。




「…赤司?」





部屋の主――赤司征十郎の名を小さく呼ぶ。しかし返事は無い。月光が淡く差し込む部屋の奥に置かれたベッドの上で、赤司は小さく寝息を立てていた。降旗の訪問に気付く様子は無い。






昔の――出会ったばかりだった頃なら、部屋に入った瞬間にハサミが飛んできただろうが、今の赤司にそこまでの警戒心は無い。大学に入り、降旗と同居を始めてから、赤司はとても穏和になったし、優しくなった。周りからはあまり分からないらしいけれど。…でも、降旗の前で無防備な寝顔を晒してくれる程度には、心中穏やかに過ごせているようだ。




降旗は赤司を起こしてしまわないように静かに扉を閉めた。抜き足差し足忍び足…音を立ててしまわぬよう気を付けながら、赤司が眠るベッドに乗り上げた。ギシ…とスプリングが二人分の体重を受け止めて悲鳴を上げる。その音で赤司が目覚めてしまうことを危惧した降旗だったけれど、赤司は相変わらず穏やかな寝息を立てて眠ったままだ。








その事実に安心していながらも、降旗の内心は複雑。今の自分の状態を鑑みれば、赤司に起きてもらうのが得策だ。それはよく分かってる。しかし、そうして理解していながらも、降旗は赤司に目覚めてほしくなかった。単に、自分より遥かに疲れているであろう赤司の睡眠を邪魔したくないという思いもある。だがそれとは別の思いがあるのも確かだった。












理由は至極単純なもの。要するに――こんな夜中に一人欲情してしまった自分を知られるのが、恥ずかしかったからだった。












本当に知られたくないのならば、こうして赤司の部屋に忍び込むなんて真似はせず、自室もしくはトイレで済ませれば良いのだろう。しかし降旗はそれが出来ない。すっかり赤司の熱を覚えてしまった降旗の身体は、自分の手で生み出す快楽では到底満足出来なくなってしまっているのである。
 








彼の――赤司の熱が無いと、ダメになってしまったのだ。








だから、浅はかで欲に忠実でそれがどれだけ恥ずかしく思っていても、赤司が起きなければ解消されない。理解しているのだけれど…結局降旗は、赤司を起こすことを止めた。起こさないまま、自分の熱をおさめようと決めた。そしてそれはイコール、赤司の寝込みを襲う形になるのだが…熱に侵され、その事実にまで思考が至らなかった。




早くこの熱から解放されたい――その一心で、降旗はそっと布団を捲り、そのまま赤司の寝間着に指を掛けた。






下着ごとスウェットをずり下げ、下半身を露出させる。当たり前だが、そこはなんの反応も示していない。降旗はそれを持ち、躊躇いもなく口へ運ぶ。慣れない口淫であるため拙いそれではあるが、まずは臨戦態勢に持って行かないとどうにもならない。今日は全て自分で行わなければならないのだから、怖じ気づいてなどいられない。





「はっ…ん…んっ…」





満遍なく舌を動かし、刺激を与えていく。根元から中程までを指で擦り上げ、時折先端を強く吸い上げる。袋の部分を揉むように刺激を与え、カリの部分に軽く歯を立てる。それを繰り返しているうちに、少しずつ赤司のモノが固くなり、雫をこぼし始めた。眠っていても返ってくる反応に降旗は嬉しくなって、夢中になって更にしゃぶる。早く…早く…と、焦燥にも似た気持ちを抱きながら。





赤司の反応に伴い、自分の身体の変化にも降旗は気付いていた。触ってもいないのに降旗のモノは勃起し、窮屈そうにスウェットを押し上げている。既に先走りまでもがこぼれていることに気付き、降旗の頬に赤みが走る。ここまで切羽詰まっている自分の身体の浅はかさに、少しばかり驚いてもいた。




「ん…どうし、て……オレ…」





疑問に思いながらも、本能には抗えない。赤司のモノをくわえたまま、片手でなんとかスウェットと下着を取り去った。それらを床に落とし、手を後ろに持って行く。そしてその指先は、いつも赤司の熱を一番に感じる箇所に触れた。





「うっ…う、うぅ…」





全く濡らしていない筈の指先は、あまり抵抗も無くナカに入り込んでいった。無論、そんなことをしたのは初めてである降旗は多大なる違和感に顔をしかめたけれど、こんな所で躓いていてはこの熱は解消されない。違和感を拭うために更に赤司のモノを深くくわえて、一心不乱に舌を動かした。そうしながら、怖々と指を動かし、そこを解していく。



赤司のモノから流れる先走りと唾液が混ざり、口端を伝ってシーツに落ちていく。降旗のモノからもひっきりなしに先走りが垂れ、シーツに染み付く斑点の量は増える一方だ。極度の興奮状態に陥っている降旗は、そんな自身の変化に構っている暇は無かった。







彼の頭を占めるのは、ただ一点。早く赤司と繋がり、この熱を鎮めることだけ。






「うぁ、ん…ふ、ぅぅ…」





後ろが三本の指を楽に飲み込める程に解れたところで、降旗はようやく指を引き抜いた。同時に赤司のモノからも口を離す。散々舐めしゃぶった赤司のモノは降旗の唾液で濡れ、それが窓から差し込む月光に照らされテラテラと光っていた。降旗の努力の甲斐あって、すっかりそれは起ち上がっている。




ゴク…と、緊張を打ち消すように口内に溜まった唾を飲み込み、そろそろと赤司に跨がる。自分の指で解した場所がヒクヒクと収縮を繰り返している。待ち望んでいるのだろう、赤司を。赤司の熱を。





乱れた吐息すらも熱を孕み、ひどくあつい。高鳴る心臓に急かされ、降旗は赤司のモノを掴み、後ろにあてがった。ギュッと目を瞑り、息を大きく吐きながら、ゆっくりゆっくり…腰を沈めていった。





「っあ、ぁ…はぁ…ああぁっ…」






十分だと思ったが、まだキツかったらしく、なかなか上手く挿入っていかない。そこが無理に押し広げられ、ピリピリとした痛みを感じる。降旗はそれでもなんとかしようと必死で、身体の力を抜こうと深呼吸を繰り返す。そうすると徐々にであるが、赤司のモノが侵入してくる。




まだ少ししか挿入っていないが、伝わってくる熱さは赤司の熱そのものだ。降旗は更に深く繋がろうと、懸命に腰を落としていく。――その時だ。












「遅い」











そんな声が、聞こえたのは。





「えっ――ひゃっ、ああぁん!!!」






ビックリして目を開けた瞬間、腰を掴まれて一気に落とされた。途端に勢い良く入り込んだ赤司のモノ。いきなり最奥に到達されたその刺激に、降旗はたまらず声を上げた。今の衝撃でイかなかった自分が、少し信じられなかった。それ程に、大きな刺激だったのだ。






快楽に震えながら見下げれば、すっかり目を開いてこっちを見ている赤司と視線が交わった。赤司はひどく楽しそうに降旗を見上げている。かく言う降旗は、困惑と驚愕の表情で赤司を見つめた。





「な、んで…いつから…?」
「光樹が僕に奉仕してくれてる時にね。君は全然気付いていなかったようだけど」
「あっ…」





カァァ…と顔が熱くなる。自分のことに必死で、全然赤司のことを見ていなかったことに気付いたのだ。奉仕してくれてる時とは言ったけど…一体どの時点のことなのだろう。いやそんなことよりも、自分が一人で乱れよがっている場面を見られていたのかと思うと、とてつもなく恥ずかしかった。







起こさずとも、赤司がいつかは目覚めてしまうのは分かりきっていた。それでも降旗は構わず、己の快楽を優先した。そしてその結果がこれである。恋人の寝込みを襲い、騎乗位で快楽を得る自分を目撃されるという…あまりに恥ずかしい状況であった。





「あ、かしっ…ごめ、オレ……ん、ぁっ!」





パニックになり、とりあえず抜こうと腰を上げた瞬間、当然ではあるがナカで赤司のモノが擦れ、快楽が生まれた。甘い声を上げてしまいすぐさま自分の口を押さえる降旗。赤司はそんな降旗を見、クスクスと笑う。





「せっかくだし、そのまま光樹が動きなよ。僕が起きなかったら、どうするつもりだったのか…僕に見せて」
「…それ、は…」
「出来るよね? 光樹」





左右で色の違う目が細められ、降旗を射抜いた。その瞬間、降旗の中から『拒否』という言葉は消えてしまった。…そもそも、赤司の言葉を『拒否』出来る度胸など、今の降旗に無いのだった。







意を決し、降旗はゆっくり腰を上げた。ぞわぞわと背筋を撫でる刺激を感じつつ、腰を下ろす。それを何度か繰り返し、動きに緩急をつけて更なる快楽を引き出す。身体を捩り、当てる場所を変えてみると、質の違う快楽を降旗が襲った。




「んんっあ、あぁ……ひ、は、ぁ…!」






赤司の視線をひしひしと感じながらも、降旗の動きは止まらなかった。もとより我慢が利かなくなっていた身体なのだ。少しタガを外してしまえば、後はもうなし崩し。自分が満足出来るよう…果てには、赤司に満足してもらうため、降旗は腰を振る。快楽を追う。乱れる姿を、惜しげもなく赤司の眼前に晒しながら。






降旗の乱れた姿を凝視する赤司も、少し呼吸が荒くなっていた。愛しい恋人の痴態を間近で見ているのだ。いくら赤司と言えど、興奮を覚えるの当然だった。





本当は今すぐにでも降旗の肢体を押し倒し、好き勝手に犯してやりたいところなのであるが、こうして乱れる降旗を眺めているのも悪くないという考えに至り、我慢して降旗を見つめる。涙に濡れた瞳と目が合って、欲に塗れた表情は悩ましげだ。赤司は自然と自分の口元が弛むのが分かった。





「気持ちいいかい? 光樹」
「あっ…ぅん……っもち、い…あぁ…」
「そう…」
「んぁっ…あか、しぃ…」





掠れた声で赤司の名を呼び、降旗は手を伸ばす。その手を絡め取って、赤司は「なんだい?」と聞く。降旗の瞳から、ポロポロと涙が伝い落ちていった。





「あかし…ねぇ、あかし…」
「なんだい?」
「うっ…ねぇ、動いてよ…オレ…あかしが、いいっ…」
「…いいよ」





可愛いおねだりに、赤司は腹筋を使って身を起こした。そしてそのまま降旗の唇を塞いだ。隙間から舌を滑り込ませ、降旗の舌を捕まえて存分になぶる。その状態のまま少し態勢を動かし、赤司自身が動きやすいようにした。降旗の腰を抱き、結合部分を指でなぞった。





その感触に、降旗は身体を震わせて腰を捩った。指から逃れるためじゃなく、その指すらもくわえ込もうとしているかのような…そんな動作だった。勿論、降旗自身にそんな気は微塵も無かった。ほとんど無意識にそうしてしまっただけである。




「は、ふ…」





唇を離すと、唾液の糸が二人を繋いだ。降旗は赤司の首に腕を回してしがみつく。ウットリと表情を緩ませ、赤司を待ち望んでいる。濡れた唇が「はやく…」と音も無く動いた。






赤司はニコリと微笑み、そして腰を動かした。突き上げるようにして、降旗を犯す。さっきまで降旗が自分で動いていたため、ナカに馴染んでいて程良い締め付けが心地良い。降旗の緩慢だった動きとは裏腹な激しい律動に、降旗は腕に力を込めて受け入れた。






「あぁっ!! ひゃっんんぅ…ああ、あか、しっ……そんな…はげ、し…やっあぁ!!」
「光樹…好きだ…」






囁きながら、赤司の動きは止まらない。降旗が一番感じる部位を集中的に攻め、固く張り詰めている降旗のモノに指を絡ませる。ビクビクと身体を震わせる降旗だったけれど、拒絶の言葉は吐かなかった。嫌だと思っていないし、気持ち良いし…何より、赤司に触れてもらえているという事実が、降旗を歓喜の渦へと巻き込んでいくからだ。




無我夢中で赤司にしがみつきながら、降旗は自分でも腰を動かす。早く絶頂を迎えたいという気持ちもさることながら、赤司にももっと気持ち良くなってほしいと思っての行動だった。赤司はそんな降旗の考えを察したのかなんなのか…また「好きだ」と言って、腰の動きを早めた。





「あっあっ、あぁっ…あか、し、もう…ひ、ぁ…オレっ…」
「いいよ…イきな、光樹」
「うっんんん!! あっああぁっ…あっ…!!」






身体が痙攣し、降旗はたまらず精液を吐き出した。遅れて赤司も絶頂を迎えたらしく、身体の奥に熱が叩き付けられた。その熱さに降旗は身悶え、喘ぎ声をもらしながら荒く呼吸を繰り返す。赤司はイった余韻に浸りながら、降旗に小さなキスを送った。








そうしている内に冷静になってきた降旗は、一連の自分の行動や言動を振り返り、物凄く…本当に物凄い羞恥心を覚えた。ボンっと音がしそうな程に顔を真っ赤にした降旗は、そんな顔を見られたくなくて赤司に抱き付いた。いきなりの降旗の取り乱し様に瞠目した赤司だったけれど、とりあえず降旗を抱き締めた。





「どうしたんだい?」
「…は、恥ずかし…オレ、なにやって…」
「そうだね、今夜の光樹はとても積極的だった。まさか寝込みを襲われてあまつさえきじょ」
「わああああ言うなああああ!!!」





半泣きになりながら降旗は赤司の言葉を遮った。赤司は笑いながら降旗の背をポンポンと叩く。それで幾分落ち着いたのか、降旗はゆっくり赤司から身体を離した。ジッと顔を見つめ、それから「ごめん…」と言った。


いきなりの謝罪の意味が分からず、赤司は少し首を傾げる。それを見て、降旗はおずおずと口を開いた。





「その…寝てたのに、邪魔しちゃって…」
「なんだ、そんなことか。気にしなくていいよ。お陰で可愛い光樹が見れたからね」
「ぅ…わ、忘れてください…」
「悪いけど、それは無理だな」





そう言って赤司は、また降旗の唇を深く塞いだ。












欲情リミット
(降旗君の突然の欲情の理由は)
(結局分からずじまい…?)




俺は赤司様が変な薬盛ったんだと信じてる← というわけで2013ver.赤降の日記念小説でした!


本当は違うCPで書く予定でしたが、赤降の日だし赤降足りなかったので赤降で書いた。赤降ちゃんマジ天使赤降ちゃん早く結婚すればいいのに。




栞葉 朱那

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