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□珈琲喫茶店3
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「ふぉっ」


何だこれ。
思った以上に人が密着してて前に進めない!


右から左からと押され、自分の身長を恨みながらも必死で前に進む。進みながら、やっぱり帰るべきだったと後悔した。


「おい紺!」


「あ、ちーちゃん!」


ちーちゃんって呼ぶな!
小さいからってふざけんなよ!


「何してんだよこんな人混みつくって! 挙げ句にファーコートの奴に絡んでるし!」



「帰るぞ。ゴミ同然の人間共に囲まれるなんぞうんざりだ」


お前いたのかよ!
背後から聞こえた、割りと近い場所からの声に苛立ちを感じるも今は我慢して。


「クロ兄も側にいたなら………」


何とかしろよ、と言いかけて、振り向いた直後に何とかしなければならないのはこの現状だと気づく。


「あははははははは!」


「貴様、動画を録ろうなどとは人間の分際で良い度胸じゃないか」


ファーコートの奴、折原臨也は悪どい顔をして笑いながら他人の携帯をガシャガシャと踏み潰してはまた笑って。


さらにその隣では、クロ兄がこれまた他人の頭を鷲掴みにしては開いた手で携帯を握り潰していて。



おぉおおぉお!?
いつの間にこんな事になったんだ!?


「お前らぁあぁああ! 何殺人現場つくってんだぁあああ!」


「殺人現場じゃない。情報処理場だ」


こんなときだけ2人揃ってドヤァと笑う。ただでさえ見た目似てんのになんて残念な。


「いやぁ愛しい人間たちの反応を見るのは楽しいけど、携帯踏み潰すのは飽きちゃうなぁ」


「まだ5人目だ。こいつに少々てこづって全員分のムービーは消せなかったがな」



「え? データなら俺が全部消したけど」


紺がきょとんといい放ち、それに俺たちが意味不明ときょとんとする。


うん?
データを消した?


「それって犯z「消したっていつだ?」


「うーんと、殺人現場よりちょっと前あたりかな?」


2人の真っ黒な髪が揺れ、堪えるようにプルプルとふるえる。いろんな意味でハラハラしていると、2人はガシッと紺の肩を掴んで。


「紺ナイス!」


「貴様にしては良い働きだ」


ファーの奴がグッと親指をたて、クロ兄は眼鏡をクッとあげて何故か上から目線で告げる。


「……………」


もーやだ。
こいつら。



END
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