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□珈琲喫茶店2
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紺のターン!
さぁさぁここからは俺視点で始まるよ!
よろしくね!
***
特にすることもなく暇をもて余していた俺はふらふらと街を歩き回って、何か目ぼしいものはないかと見てまわる。
いつも通りの街並みに何となく安心して、いつも通りの人混みに何となく苛立つ。まぁ良いんだけどね。どうこうするつもりも無いからさ。
ただこの退屈を何かして埋めたいんだよ。せっかくの人生なんだから暇するなんて勿体ないじゃない。だから何か……何でも良いんだよ。不良が暴れてるならソイツら潰すし、ヤクザに追われてるなら逃がしてあげる。助ける? いや、そこまではしないよ。俺自分大事だもん!
あぁ、違くて。
だから暇をなんとかしたいんだよ。
ショップ店が並んだ繁華街にでるといくつかの飲食店が目についた。時間を確認すれば、12を過ぎていて。どうりで小腹がすいたと思ったら。何か軽く食べようかな。
キョロキョロと飲食店を見回していると、喫茶店から眼鏡をかけた……あれはクロちゃんだ!
「街中で会うなんてめっずらしー!」
何故ファーコートを着てるのか疑問なところだけどそんな事はどうでも良い! 使わないくせに稼ぎ込んでる現金を、俺の食費に費やしてもらうんだ!
「クッロちゃーん!」
「うわ!?」
ファーコートのふわふわの毛が視界を塞ぐのを良いことに俺は背後からドーンとタックル、もといぎゅーっとハグをして。けれど聞こえた声と振り向いた顔は、俺の知ったものでは無かった。
「え?」
ん?
誰だコイツ。
クロちゃんじゃない。
相手も見知らぬ俺に疑問を持ったようで、微妙に曇った表情で俺を見ている。見んなよ。
気まずい沈黙を静かに破ったのはクロちゃんに似た誰か。そいつは実に嘘臭い笑顔をつくって笑う。
「人違いじゃないかな? 君の言ってたクロちゃんなら、俺とは反対の方向に行ったよ。俺は折原臨也って名前。間違えないでね」
「はい! 気をつけます! 臨リンがクロちゃんに見えちゃったけど全然違うね! こんなにウザくないし!」
てか顔近いよ!
俺もキラキラした笑みで嫌みを返すと、後方から聞きなれた低い声が「紺!」と呼んだ。
手を膝について息を切らしている眼鏡、いやクロちゃんは俺の頬をつまむなりそのままニョーンと引っ張って。
「こら!」
「痛ッ!?」
どうやら臨リンの声で振り返ったら俺がいて、挙げ句に人違いなんてしたもんだからわざわざ怒りにきたらしい。ご苦労様!