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□賛否ブラック
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黒と紺が珈琲をブラックで飲むことに対して青がヤキモキする話
***
結構やんちゃをする俺だって、たまには苦いものを口にしたいって思う。ビターチョコあたりが一番近いかな。ブラック珈琲も飲んでみたいけど、あれは俺には苦すぎる。
「おいチビ」
「チビ言うな眼鏡!」
実際眼鏡をかけた黒がゆっくりと俺を睨む。口は笑ってるのに目が笑ってない。器用だ。あ、や、待っ
スパァンッ
「いたっ!」
手にしていたプリントを丸めて俺の頭…しかもご丁寧に触覚のあたりを叩く。そのままパシパシと頭を叩いて、
「チビ。返事はどうした?」
なんて言う。
くそ。足踏みたい。
けどそんな事したら倍返しされるのが残念ながら目に見えている。
「何だよ」
「珈琲淹れろ」
パソコンを起動したデスクの前に座って、俺の方を見もせずに言う。そのままキーボードを物凄く速さで叩いていく。
俺はお前のパシりか!
自分でやれやコラ。
何ならお前を殺ってやろうか。
「たっだいまー!」
ちょっと苛々してるとやたらハイテンションな紺が玄関から飛び込んできて。手にぶら下げた袋を持って黒へと渡す。
「はい、これ頼まれてたやつ!」
「ご苦労」
既に紺がパシられていた。
「何してる青。はやく淹れろ。茶にするぞ」
「え」
「ちーちゃん俺ブラックねー!」
ダルそうな動きで眼鏡をかけ直してガラステーブルを挟んだソファーへと腰かけて紺もそれに続く。
「な……お茶ならお茶って言えよ! 無駄にストレスためたじゃねーか!」
「何言ってんのちーちゃん。だからでしょ」
……は?
何? 俺をイラつかせるためにパシりに使ったってことか? バカじゃねーの?
でもまぁ、この2人がブラックなら、俺もそれで良い。それが、良い。
「しょうがねーな……」
でもせっかくだから砂糖をいれてやる。袋から取り出したのが甘い甘いケーキだから、尚更だ。
***
ブラック賛否
どっちだって良いじゃない。
お前らは俺に甘いし、
俺だってお前らに甘くいたいんだから。