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□珈琲喫茶店1
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DRRRから臨也さんに来てもらいました!
店員さん目線
***
数十分前、1人の客が来店した。黒いファーコートを着た眉目秀麗な男だ。視力が低いのか眼鏡をかけている。新宿や池袋では有名な情報屋、折原臨也だ。
「いらっしゃいませ」
はじめまして。
とある喫茶店で働いている者です。今回はたまたま選ばれた俺目線の話にお付き合い下さい。
折原臨也は挨拶にニコリと笑い返す。店内をちょっとだけ見渡して、相席の場所に目をとめた。そして玩具でも見つけたようにニィッと笑う。
彼はそのままスタスタと歩きだして、既に人のいる相席へと向かった。その席に無遠慮に座るとひらひら手を振って注文をいれた。
「すみませーん。珈琲1つ、ホットでお願いしまーす」
当然客からの注文だから断ることはしない。俺は店員専用の機械で珈琲豆を挽く。こういう軽い品なら自分たちでやるのがこの店のやり方だ。セルフサービスはなくて、ジュース一杯の注文も店員の勤め。
珈琲がカップに注ぐまでの間、ぼんやりと2人の方をみる。
うわ。
もとから来てたお客さんすっげー不機嫌だ。ムッスーとしてるというか……折原を睨んでる。しかもそのにらみ方が尋常じゃない。
対しては向かい側にいる男はヘラッと笑っている。
「んー………どうしてクロちゃんがここにいるのかなぁ?」
クロちゃん?
ク・ロ・ちゃん!?
え、ちゃん付け!?
20代だぞ?ちゃん付けとか。もとから座っていた成人男性への呼び名にびっくりしているとギロッと睨まれて、サッと目を反らす。
怖。
「黙れ」
クロちゃんは一言だけ吐き捨てて数十分前に注文していた珈琲を口に含む。
「ねぇ眼鏡は? なんで今日に限ってないの?」
「知り合いに壊されたんだ。貴様こそ今日に限って眼鏡なんぞかけてきやがって」
「俺は今まで仕事してたからね」
あ、珈琲出来た。
よし、持ってくか。
傍に置いてある銀のトレーを拭いて珈琲のセットをのせて、いざ。
「失礼します。珈琲を御持ちしました」
「あ、ありがとう」
珈琲を溢さないように注意しながらカップを載せた皿をスライドさせるように動かしてテーブルの上へ。
「ねーねー俺の眼鏡かけてみてよ。きっと似合う」
よし、戻るか。
あ、クロちゃん嫌な顔した。
うわ。
マジウザそー。
何かもう睨んでるよね。
「ねー良いでしょ? ここは俺が払うからさ」
「チッ」
舌打ちしたし。
今の舌打ちって金銭が浮くからとかの意味じゃなくて、ただ単にこのままだとしつこいからさっさと終わらせるかとかそういう意味だよね。
クロちゃんは詰まりない動作で眼鏡をかける。
うん、だいぶ変わるね!
「うわぁ、カルチャーショック」
苦笑した折原に眼鏡を差し出したクロちゃんは、何故か目の前で眼鏡をバッキリとご臨終。
「あぁああああああ!?」