偽りの白
□十三章
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沖田総司side
「君はこの近くに住んでるの?」
「違います。今日は用事があって・・・」
「ふーん」
僕の視線をさけるように俯きがちになる。
椿の花模様の着物だから椿。とっさについた嘘とはいえ単純すぎじゃないかな。
それとも単にそんなことを考えてしまう僕が疑い深いのか。
最初にぶつかって謝られた時、一瞬名前と呼びそうになった。女の子らしくて高い声、別人のはずなのに直感的にそう思った。
こちらに向けられた顔立ちは幼く、名前であるはずがないのになぜか呼び止めていた。
さっきからいろいろな質問をしてるけど彼女は動揺したそぶりを見せまるで嘘のような答えを返してくる。
彼女は変装しているだけでやはり・・・そんな願望にも似た考えが浮かんでくる。
元々の用事はもうどうでもよくなっていた。今はただ彼女の正体を知りたい。
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