偽りの白
□九章
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雪村千鶴side
名前さん大丈夫なのかな?
もしも風間さんの言葉が本当なら
やっぱり様子を見に行った方がいいんじゃ・・・少しだけ・・・確認するだけ
風間さんの言葉は嘘。それを信じたかった。私は裏切ってなんかなかったと
自然と小走りになってしまい、すぐに縁側の近くまで着いた。
きっと大丈夫だから。そう自分に言い聞かせて足を踏み出した。
「名前さん!?」
私が見たのは苦しそうにうずくまる名前さんの姿だった。
「名前さん!」
「・・・千鶴、ちゃん?」
「何があったんですか!?」
鼓動が早まる。嘘だと思いたかった。
「大、丈夫っ・・・」
自分の体を抱きしめてうずくまる姿は大丈夫と言えるものじゃない。
「私、人を呼んで来ます!」
「待って!人は、呼ばないで・・・」
名前さんは苦しみながらも私を引き留める。
「でも!」
「・・・だったら・・・副長を呼んで?」
「わかりました!」
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