偽りの白
□七章
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名前side
「千鶴ちゃん、巡察行くよ」
「はい!」
はじめと話し合うと決めてから今日で三日がすぎた。
まだ言い出せてないのは未練があるからか、恐いからか・・・
きっと両方。
組の先頭を歩いていく後ろ姿を見ると、まだ愛しさを感じる。
私の話を聞いたら、はじめはどんな反応をするのかな?
そうかと言って終わり?それとも、・・・私を引き留める?
未練ばっかりだ。ちゃんと話し合えるのかな?
不安はどんどんと膨らんでいく。
駄目だ。今は巡察に集中しないと
ぐるぐると回り続ける思いを隅っこに押しやった。
巡察は何事もなく無事に終わり、屯所へ戻ってきた。隊士たちは休憩をとるために解散していく。
言わないといけない。
「斎藤組長!」
「何だ?」
普段と変わらない様子。はじめは何も知らないのだと思うと気が重かった。
「私的なお話があるので今夜、部屋に伺っていいですか?」
「ああ」
・・・もう逃げられない。今までありがとうございました。
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