偽りの白

□四章
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名前side


 今日、昼の巡察中に古高俊太郎が捕縛された。


 普通ならお手柄なんだけど・・・古高俊太郎は長州の間者であるとわかった上で泳がせていた人物だった。


 しかし、不運な偶然が重なり捕らえなければならない状況になってしまったのだ。


 そういう理由で幹部全員が広間に集まり会議をしている。


 「ごめんなさい」


 千鶴ちゃんは頭を下げて謝る。


 「千鶴ちゃんのせいじゃないよ。ほら、顔上げて?」


 総司さんの話によると、ちょっとした騒ぎが起こり何も知らずに古高の店に避難してしまったらしい。


 最近は千鶴ちゃんも巡察に同行することが多いから顔を覚えられてしまっていた。


 「あんたの監視を怠った総司が悪い」


 「仕方がなかったんだよ。それでどうするんですか?」


 「古高が吐いた情報だと今夜、会合を開くみてえだ」


 「え、もう吐いたんですか?」


 古高が屯所に連れてこられてからまだ一刻ほどしか経っていないはず。それに会議だってあった。


 「ああ」


 怖っ!一体どんな・・・考えちゃいけない気がする


 「場所は池田屋か四国屋ですね。池田屋を頻繁に使っていたようですから四国屋と考えるのが妥当でしょう」


 「だが、池田屋の可能性も捨て切れまいぞ」


 だらしがないことに夏の暑さで体調を崩している隊士が多かった。


 動けるのは三十ちょっとぐらい。二手に分けたら人数が少なすぎる。


 「では、俺が十人で池田屋に乗り込む。歳は残りの者をつれて四国屋へ乗り込んでくれ」


 「近藤さん、いくらなんでもそれは無謀すぎるぜ」


 「その代わりに総司、名前君、永倉君、藤堂君を連れて行く。本命が池田屋のときは頼むぞ」


 「・・・わかった」


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