偽りの白
□三章
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名前side
「はあ・・・」
結局、それを捕まえることはできず屋根の上に逃げられてしまった。
「落ち込んでいても仕方がない。作戦を立てるぞ」
私達は・・・見つからないように千鶴ちゃんの部屋に移動した。
「あの、何かあったんですか?」
千鶴ちゃんは心配そうに聞く。
「まだ聞いていなかったのか?」
「はい」
「事の発端は勝手場」
総司さんが言った。
「あの野郎が入ってきて、俺たちが作った飯を台無しにしやがったんだ」
千鶴ちゃんは永倉組長の恨みがこもった言葉に気圧されている。
「・・・あの野郎って」
「猫だよ、猫」
「猫ですか?何で屯所に」
「誰かが持ち込んだか、勝手に入ったかじゃない?」
「とにかく、今からやらなきゃならねえのは勝手場の掃除と昼飯の準備、奴を捕まえること、会議中の土方さんの目を誤魔化すことだ」
どれも大変そうだけど・・・副長のところには行きたくない
「じゃあ、僕は猫を捕まえるよ」
「俺も手伝おう」
「俺と新八は勝手場だから、平助が土方さんだな」
「何で俺が・・・土方さんを誤魔化す何てできるのか?そうだ!名前も手伝ってくれよ」
え、私に振りますか?
「頼む!名前だったら土方さんに怒られないだろうし」
確かに特別な事情のためにいろいろ甘やかされている部分も多い。
縋るような目で見られて断り辛かった。
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