偽りの白

□三章
2ページ/9ページ

名前side


 「はあ・・・」


 結局、それを捕まえることはできず屋根の上に逃げられてしまった。


 「落ち込んでいても仕方がない。作戦を立てるぞ」


 私達は・・・見つからないように千鶴ちゃんの部屋に移動した。


 「あの、何かあったんですか?」


 千鶴ちゃんは心配そうに聞く。


 「まだ聞いていなかったのか?」


 「はい」


 「事の発端は勝手場」


 総司さんが言った。


 「あの野郎が入ってきて、俺たちが作った飯を台無しにしやがったんだ」


 千鶴ちゃんは永倉組長の恨みがこもった言葉に気圧されている。


 「・・・あの野郎って」


 「猫だよ、猫」


 「猫ですか?何で屯所に」


 「誰かが持ち込んだか、勝手に入ったかじゃない?」


 「とにかく、今からやらなきゃならねえのは勝手場の掃除と昼飯の準備、奴を捕まえること、会議中の土方さんの目を誤魔化すことだ」


 どれも大変そうだけど・・・副長のところには行きたくない


 「じゃあ、僕は猫を捕まえるよ」


 「俺も手伝おう」


 「俺と新八は勝手場だから、平助が土方さんだな」


 「何で俺が・・・土方さんを誤魔化す何てできるのか?そうだ!名前も手伝ってくれよ」


 え、私に振りますか?


 「頼む!名前だったら土方さんに怒られないだろうし」


 確かに特別な事情のためにいろいろ甘やかされている部分も多い。


 縋るような目で見られて断り辛かった。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ