短編
□幸村君は純粋
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幸村side
名無しさん。
その子は突然俺の心をえぐってきた。
3年の夏休み明けの席替えで隣の席になった名無しさん。いつもの女子なら、よろしくとか絶対言ってくる。
だけど彼女は無言だった。
正直いらっとした。プライド崩された感じでね。ふふっ
だから俺から言ってやった。
「名無しさんだよね?よろしくね」
「え?!あ、うん」
そう、それだけだった。
俺に興味ないとかちょっと変わったやつだと思った。
このクラスの女子は大抵テニス部の事が好きだからね。
月日が流れても全く話しかけられることもない。でもなぜか彼女が気になって仕方なかった。
いつもボーッとして、何を考えているのかわからない。恋のうわさも全くない。
そんな彼女が知らずうちに好きになってしまった。
そしてある日、名無しさんの独り言を聞いた。それがチャンスだと思った。
「俺とさ、付き合ってくれない?」
彼女は顔を真っ赤に染め上げていた。たぶん告白されたの初めてだったようだ。
でもそんな姿まで可愛らしく見える。