短編
□かぼちゃスープ
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「よし、今からハロウィンパーティーはじめるぜぃ!内容的にはお菓子食って喋るだけ!お前ら存分に楽しめよぃ☆」
「「「「かんぱーい」」」」
お菓子持ってきてない。だから私は帰らせてもらう。
こっそり後ろのドアから出ようとした。……が。
「おっと、名無し。どこいくんじゃ」
が、そこを仁王に止められた。
「帰る。家帰って寝たい」
「おーおー、丸井も可哀想じゃのぉ」
「はいはい、じゃーね」
そう言うとドアを開け私は教室を出て行った。
家に帰りつき、ぐだっとしていると突然インターフォンがなる。
運が悪く今家には私しかいない。
仕方なくドアの前に行きどちら様ですかー、と聞いた。
「丸井」
びっくりしたなんてもんじゃなかった。とりあえず6秒くらい体は動かなかったがドアをあけた。
「丸井?どーしたの」
「どーしたのはこっちのセリフだっつの。お前…帰りやがったな」
マフラーを首に巻き両手をポケットに入れ白い息をハーハー出しながらちょっと怒った顔で丸井はそう言った。
「家に帰りたかったんだもん」
「アホか」
「てか、何しに来たの?」
「んー、怒りにきた」
「それだけ?」
「そんだけ。…あー、後は…お前と2人きりになりたかったからかな?」
この詐欺野郎。あ、仁王の事じゃないよ。
いっつも、こんな調子で女子を釣ってんのか?
「はいはい。てゆか、寒くない?」
「寒いと思うならなんかくれ。トリックオアトリート」
「玄関までなら入っていいよ。ちょっと待ってて」
私は台所に行って何かないか探す。あ、かぼちゃスープ…。お母さんが今日ハロウィンだからって言って置いて行ったんだ。
私はそれを急いで暖め丸井のとこに持って行く。
「はい、かぼちゃスープ」
かぼちゃスープの入った容器とスプーンを渡す。
「え?!これ名無しが作ったの?!」
「残念お母さんでした」
「ま、いいや。ありがたく頂くぜぃ」
丸井は座ってかぼちゃスープを食べ始める。
隣に座れよって言われたから座って世間話をグダグダしていた。
「ふぅー、うまかった!サンキューな!」
「そりゃよーござんした」
丸井は容器とスプーンを私に渡して立ち上がった。
「ところでお前さ、好きなやつとかいんの?」