短編
□SUMMER
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@赤也
同日 午後17時30分
雨が本格的に降り始め、今日の部活はただのミーティングだけで終わった。
あっちぃ…しかもじめじめして気持ちわりぃーな。
自分の靴をとり、上履きと履き替える。
周りにはもうテニス部の男子数名しかいない。
でもそこに、1人の女子がいた。
マネージャーか?と思ったが、そうじゃない。
よく見ると同じクラスの名無しだった。
傘を忘れたのか、ボーッと外を眺めている。
あまり話した事のないクラスメイトに俺は傘を貸すべきなのか?
10秒くらい考えたが特に結論が出るわけでもない。
話しかけたら嫌われないか?という事が俺の脳をよぎった。
俺はそのまま傘をさし、雨が降る中を1人で帰って行った。
@名無し
同日 午後17時28分
最悪だ。
帰ろうとしたら急にお腹が痛くなってトイレにこもって30分。
よし、帰ろうと思ったらさっきのり大降りの雨。
傘…忘れた…。
迎えに来てもらおうと思い、携帯を出そうとしたらまさかの家に置き忘れ。
本当に最悪だ。
走って帰ろうと思い、靴を履き直した。
さて、いくか。
そう思った時、どしゃぶりの雨の中ビニール傘をさして帰って行く切原赤也をみた。
いたんだ…。よかった、まだ走り出さなくて。
切原赤也が見えなくなったのを確認して、私は思いきり走りだした。