短編
□SUMMER
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@赤也
同日 午後17時00分
ボールの音が飛び交うテニスコート。
1年の素振りの声、ランニングしてるもの、テニスコートの周りには女子の大群。
いつもの事、何も感じない。ただの日常。
今日もこーやって同じ日々をすごさなきゃいけないと思うと心底楽しくない。
テニスが俺の生き甲斐。女なんてどーでもいい。
そう、どーでもよかった。
だけどあの人が現れてからは、それは過去形になっていた。
それはまだ、過去の話。
@名無し
7月17日 午後14時6分
5限目の休み時間。もうすぐ夏休みが近づいてくる。
皆は彼氏がどーだ、祭りがどーだって言ってるがいたって興味はない。
「名無しは夏休みどーするの?」
『ん〜、寝る』
「はぁー、さすが名無し。彼氏とかほしくないわけ?」
『別にー。興味はないしー』
「そうだ!!それならさ!一緒にテニスの試合見に行かない?」
『は?』
「いいねー!それ!」「仁王先輩とか見たい!」「私はやっぱ丸井さん//」「えー?!柳先輩でしょ!」
ちょっとドキッとしてしまった。そして私は反射的に切原赤也の方を向いてしまった。
友達と仲良く話している切原赤也。
そんな彼と目があった。
は?!やば!!
すぐに向き直す。
「名無しはテニス部で誰が好き?やっぱり仁王先輩とか丸井先輩?」
『え…っと。そ、そう!仁王さん!私、仁王さんかっこいいと思うんだ!』
「まじ?!よかった〜。名無しにもそーゆー感性があって」
動揺したのか、適当な事を口走ってしまった。
6限目のチャイムがなる。
窓の外は、雨が落ち始めていた。