短編
□SUMMER
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7月10日 午前10時16分
セミの声が鳴り響く教室。
すべての窓が開いて、生ぬるい風が通る。
寝ているもの、ノートで仰いでるもの、真剣に授業を受けているもの、お絵描きをしているもの。
いつもと変わらない日常。
いつも通り進んでいる毎日。別に楽しいわけでもなく、ただただ時の流れに身を任せている。
そんな私が好きな人を後ろから見るのも日常。当たり前のこと。
いつものようにボーッと眺める。
あ…今ガクンってなった…。
好きな人、切原赤也を後ろから見ていた。いっつも寝ている切原赤也。
どうして好きかはわからない。なんかこう…ね…。
だけど、特に話した事もない。名前なんてよんだこともない。
話しかける内容としたら、プリント集める時ぐらいで、「ねぇ」とかしかない。
だからフルネームでいろいろ進んでいく。別にどうこうなりたいわけじゃない。ただ見ているだけで充分な感じ。
終わりのチャイムが鳴る。
全員が起立し挨拶をし終わる。
やっと終わった…。
私は背伸びし、友達の所に歩み寄る。
これもまた、いつもの日常…。