短編

□届かない
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「ほな名無し。帰ろか」.

「うんっ!皆、またねーん」

今日も部長と名無し先輩は一緒に帰る。手を繋いで一緒に校門を出る。それを俺は毎日見てる。

こんな辛いんやったら、テニス部辞めたいわ。

名無し先輩はテニス部のマネージャー。部長とは二ヶ月前から付き合っとる。告白は名無し先輩かららしい。


いつも笑顔で仕事をこなす名無し先輩に俺はすぐに惹かれた。
でもやっぱり、部長にはかなわなかった。


テニスも恋も何もかんも…部長にはかなわない。

「財前、どーしたんや?はよ片付けや」

「謙也さん。俺、どーやったら部長にかないますか?」

「あー、名無しの事か。お前好きやったな」

「………………もーいいです」

俺はさっさと片付けさっさと部室を出た。
早く家に帰ってシャワーでも浴びよ。
早歩きで家に帰ってると部長達が目の前を歩いていた。

不運や…はよ歩いてくれへんかな。
その距離わずか10m。
すると前におる2人がピタッと止まった。
そして向かい合う2人。


これは…来るな…。


そして2人はキスをする。
俺の目の前で。






届きたいけど…届かない。


名無し先輩と

部長に……。
 

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