短編
□へたれ先輩
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「先輩、なんで無言なんですか?」
「・・・。え、あ!?なんや!?」
「あ、いえ・・・」
名無し名無し。
四天宝寺中2年。
「ちっ。なんや謙也。もっと積極的にいかんかアホ」
「ま、へたれやからしかないんとちゃいます」
私の彼は1コ上の忍足謙也先輩。
今は屋上で2人で昼食をとっている。
それを影で見守る白石さんと財前くん。
きーんこーんかー「ぉおぉ!!チャイムなったから教室戻るな!!」
先輩はすごい勢いで帰っていった。
「はぁ・・・」
「名無しさん。まぁ、謙也には今日びしっといっとくわ」
「ぜひお願いします」
こんな生活が毎日続いております。
「おい白石!!俺どうしたらええねん!!」
「しらんわアホ。謙也がもっと積極的になればええんやろ」
「そ、そんな俺。恥ずかしくてなんも喋れんわ・・・」
「アホ。ほんまへたれやな。・・・お、名無しさんやで。はよいき!!」
「あ、あぁ」
先輩がこっちに走ってきた。
「あ、あの、先輩。今日、一緒に帰りませんか?」
「あーー、今日はちょっと・・・「全然OKOK!!謙也今日暇やもんな?な?」
「ちょ、白石。あ、ん、ええで」
「それじゃ、今日の放課後。正門で待ってます」
私は白石さんにお辞儀をして教室へ戻った。
「名無し〜。どうだった!?イケメン彼氏とは!!」
友達のあけみが話しかけてきた。
「もぉ、なんか全然はなせなくってさー」
「まじ!?でもさ、あの忍足先輩だよ!?付き合えるだけでも幸せじゃん」
「そうだけど・・・」
話せなくちゃ意味ないんだよね。
手もつないでない。
まともに目もあわせてない。
喋れない。
こんなんじゃ
付き合ってる意味ない。
よし。
こーゆーときの財前くんだ。
私は財前くんのとこに向かった。
「財前くん!!」
「うわ。なんや焦った」
「謙也さんってどんな人!?」
「いきなりなんやねん。まぁ、あの人はたんなるへたれ」
「へたれ??」
「そう」
「へ・・・へぇ」
へたれって言われてもな。
「そんなに謙也さんのこと好きやったら、名無しからキスしてやれば」
「は、はぁ!?」
「謙也さんもそっちのほうが喜ぶやろ」
「無理だよ!!」
「がんば」
財前くんはどこかへ行ってしまった。