短編
□あいあい傘
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し、失敗?
なんの話だろうか。
「俺、テニス部で二年生エースの切原赤也ッス!」
そう言うと切原くんは掴んでいた腕を離した。
てか、私より年下なんだ。
「傘ないんすよね?よかったら俺と一緒に帰りませんか?俺持ってるんで」
「なんでそうなるの?」
「濡れたら風邪引きますし」
さて、この場をどーやって切り抜けよう。
今日しゃべったばっかの人とあいあい傘はちょっと抵抗がありまくる。
「でも私達、今日初めて話したばっかりだよね?だから一緒に帰るとかはちょっと…」
切原くんは急に黙り込んだ。
よし、わかってくれたかな?
じゃあ、私はこの辺で…と帰ろうとした。
「名無し先輩…」
「え…?」
どうしてわたしの名前を?と聞き返そうとした時
「俺先輩の事好きです」
突然の告白。
え?ちょ、なになに?!
急にどうしたこの子は!
「俺ずっと先輩の事見てましたよ。仁王先輩達と仲良いっすよね?そん時からずっと、いいなって思って…。喋ったのも今日が初めてじゃないっす」
「え、なんか…ごめんなさい」
どどどどーしよ。
助けてください、私混乱しまくりです。
「俺と付き合って下さい!嫌ならすぐ別れてもいいんで!お願いします!!」
ど、土下座?!
やめてやめてやめてー!
「わ、わかった!こちらこそよろしく!だから顔上げて!ね?!」
切原くんはほんとっすか?!と言い笑顔になった。
「いやーよかった。やっぱ仁王先輩の言う通りでしたよ」
「え、仁王がなんか言ったの?」
「名無し先輩は土下座に弱い」
え?何その情報。
てか誰でもそーだろ!!
「そんじゃ!帰りましょう!先輩♪」
「う、うん」
あいあい傘。
一つの傘が二人を守る。
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