夢小説
□高尾
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「………」
家に帰ったら、その人もういんのかな。とか考えてたらあっという間に放課後になって、部活も終わって…。後は家に帰るだけ、なんだけど。正直。
「帰りたくないなー…」
だってさ。よく考えてみてほしい。
俺に姉貴ができるってことは、家族が増える訳だ。家族ってことは同じ家で生活する訳だ。大学生の女の人と。
どこのエロゲーだよ。家では決して漏らせない弱音を人混みに吐き出す。
「…ん?」
そこらへんにあるベンチに腰をおろし、一息吐いたところで右ポケットに入ってるスマホが震えてるのに気付いた。
ポケットから取り出し画面をタッチしてみると、母ちゃんから電話がきていた。
「もしもし?」
スマホに向かって返事をすると母ちゃんの声が耳に届いた。早く帰って来なさいよ。自分に向かって言われたことだけど今はそれを受け入れたくなくて。通話を終了し、そこら辺にいた鳩に、だって、と呟いた。
「はー………
しゃーない」
帰ろう。早く帰って、いつもの調子で話して、早く寝てしまおう。砂が地面と擦れあう音を立てながら一歩、足を踏み出した。