夢小説

□高尾
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お母さんね、再婚するの


幸せそうな顔をしながら、母ちゃんがそう言ってきたのは一ヶ月前の事。父ちゃんは妹が生まれてからすぐに他界した。女手ひとつで育ててきてくれた母ちゃんに好きな人――愛する人ができたのだ。祝福しない訳がない。

でも、流石にこれは、素直に喜べない。
今日は俺の誕生日。先輩とか、真ちゃんとかプレゼントくれるかな〜、とわくわくしながら玄関で靴を履いてると、母ちゃんが慌てた様子で駆け寄ってきた。
和成と名前を呼ばれ、なに、と振り返ると母ちゃんは眉を下げながら俺の反応を窺うように口を開いた。

相手の方に大学生の娘さんがひとりいるの。
その娘さんが今日、御目見えになるの。
だから、失礼のないようにね。

ああ、うん。分かった。みたいな軽い返事をして家を出た。
マジかよ…。ぽつりと漏れた呟きは白に変わって、三秒前の自分を褒め称えながら自転車に跨った。



 
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