夢小説

□高尾
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ぴかぴか、ごろごろ。部屋に来ても耳に届く雷の音。暫く目を閉じてじっくりとその音を聞いてみたけれど。

「駄目だ」

全然怖くない。ベッドに顔を埋め全く恐怖心の湧かない自分に呆れ溜息を吐き出す。まだ、子供のように怖がることができれば。あの頃のように、お兄ちゃんに抱きしめて貰えるのに。


「――――――!?」


一際大きな光。間膜を開けて来る筈の音が光と共に響いた。大きい。ごろごろではなくばりばりといった感じだ。地面を揺らす程の大きな雷。だけど、それにすら――――


「…名前?」

「……お兄ちゃん……?」

目を開ければ、お兄ちゃんが私の部屋の扉を開け、私を不安そうに見下ろしていた。どうしたというのだろう。ベッドに預けていた体をそのままにどうしたの、と尋ねる。
お兄ちゃんはなにも言わずに私の傍まで歩み寄り、静かに腰を下ろした。


「…………雷、大きかった」

「うん、そうだね」

「………、……」


どうして。お兄ちゃんはそんな顔をするの。どうして、お兄ちゃんは私に触れてくるの。頬に添えられたお兄ちゃんの指。冷たいな、なんて呑気に考えてると、お兄ちゃんは静かな声で言った。


「名前、もう雷怖くないんだね」


 
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