夢小説

□花宮
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花宮と私は幼稚園からずっと一緒。所謂幼馴染だ。小学校、中学校と共に進学した。今年三年生の私たちは受験を目前に控えている。私はまだ具体的に高校を決めている訳ではないが、当然、花宮と同じ所に行くんだと思っていた。その内二人で高校どうする?みたいな話をするんだろうと思っていた。
でも、いつまで経っても花宮は私にその話を振ってこない。おかしいなとは思っていた。けど、私からは決して口を出さず。今日、友達と話してる時に花宮が霧崎第一を受験することを知った。
そんな事今まで一言も言ってなかったのに。と、いうか私になにも言わずに。勝手に一人で。
そう考えると徐々に頭が熱くなり感情のまま花宮の元へ行き、花宮に問いただしていた。


「なんで私に一言も言ってくれないの!?」

「………なんでお前に言わなきゃダメなんだよ…」

「なんでってっ…」

「…言ったらお前、着いてくるだろ?」


そろそろ幼馴染離れしろよ。花宮は表情ひとつ変えず言ってのけた。幼馴染離れって。だって、そんなの。私は花宮の傍に居ちゃいけないっていうのか。

「まぁ、離れたくないってんなら別の形で隣にいさせてやってもいいぜ」

「…っ」


別の形?。なんだそりゃ。いや、分かっているような分かっていないような。兎も角、花宮から上から目線で物を言われている。こっちは混乱してるってのに。
花宮に更に顔を近づけた。唇がふれてしまうんじゃないかってくらい。真っ直ぐ花宮を見て「あんたと一緒になんかいたくないし!」と言ってやった。

すると、花宮の顔が私の予想を裏切り、くしゃりと歪んだ。え。なんだ、その反応は。いつも悪戯気に上がった眉を下げ、目が不安げに揺れている。おまけに、来てくれねえのかよ。…俺は名前に来てほしい。なんて言う。

「…は、なみ、や…」

鼓動が早くなる。顔が熱い。視界が歪む。なんて馬鹿なことを言うんだ。ああ、でも。嬉し―――
「って、言えば満足かよ?」

 
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