夢小説

□花宮
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ずかずか。そんな効果音がつくのではないか、と思うくらい強く私は地面に足を叩きつけていた。いや、正確にいうと歩いてるのだが。それもこれも…全部あいつの所為だ!
鉄の扉をこれでもかと言う位強く、乱暴に開いた。大分古くなっていたその扉はぎぎぎ、と嫌な音を立てる。普段ならきっちり閉める扉も今は無視。目の前に青空が広がった瞬間、すかさず踵を返す。すう…とお腹一杯に空気を入れ、憎たらしい幼馴染の名前を呼んだ。
“花宮!!”その声の大きい事。さすがの花宮も驚いたのか、苛ついたのか。むくりと黒髪を揺らしながら起き上った頭がちょろっとだけ見えた。

「…んだよ、煩えな…」

欠伸をする花宮の顔は心底面倒臭そうで。煩えなじゃない!声を張り上げながら花宮の近くへとよじ登った。無言で眉を寄せ訳が分からないと言いたげな花宮に更に苛立つ。
ばし。っと花宮の前に手をつき身を乗り出した。


「花宮、霧崎第一行くんだって?」

「それがなんだよ」

「それがなんだよって!」


あんたなんにも分かってない!
花宮はまた鬱陶しそうに眉を歪めたけれど私の口は止まる事を知らない。

 
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