夢小説

□氷室
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「あなた、部活お疲れ様。
とりあえず紅茶でも飲んで」

氷室君の服の裾をひっぱり部屋へ招き入れる。大きなソファへ体を沈めた氷室君の隣に私も腰かけ、これまたあらかじめ用意しておいた紅茶を差し出す。
氷室君は嬉しそうに微笑んだ。が、氷室君は紅茶を受け取りそれを口に運ぶことなくテーブルに置きなおした。いらなかったのかな。首を傾げてるとぐらりと揺れた氷室君の頭。目の前を横切った髪からはいい香りがし、呆気にとられていると、氷室君の頭は私の膝に預けられた。

あ、膝枕か。若干顔がにやけるのを堪え氷室君の髪に指を滑らす。さらさらとしてて、肌に絡む髪を暫く遊んでると氷室君がぽつりと呟くように言った。

「紅茶もいいけど、俺は名前の膝でゆっくりしたい」

とても心地がいいんだ。そう微笑む氷室君の顔は本当に綺麗で。知らず知らずのうちに笑みが零れ、そっと口を開いていた。

「今日は、甘えただね。
…なんだか本当に奥さんになったみたい」

しん、とした空間に響く氷室君の上品な笑い声。そうだね。って笑う声。
でも、本当にこれだけでよかったのかな?
そう聞けば氷室君は、ならもうひとつ。と寝かしていた体を起こした。
じ、と私を見つめる目はとても真剣で。バスケをしている時とはまた別の真剣さを感じさせた。


 
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