夢小説

□氷室
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「おかえりなさい、あなた」

私の言葉を聞いて満足気に微笑む氷室君にほ、と息を吐き出す。良かった。

今日は氷室君の誕生日。なにかプレゼントをあげようと考えたが、やっぱり氷室君の本当に欲しい物をあげたい(それに欲しい物がなにか、考えても分からなかった)。なので氷室君に直接欲しい物を聞くことにした。
氷室君は、プレゼントくれるの?ありがとう、と微笑んだのち暫く考えるような素振りを見せ、あ、と口を零した。

“なら、俺の奥さんになってくれる?”


その時、自分が出した間抜けな声を私は一生忘れない。それって…プロローズ?不安半分、期待半分で氷室君を見つめてると氷室君は笑いながら、ままごとみたいだね、と言った。

いや、そっちかよ。っていうか、ままごとみたいじゃなくて、ままごとだよ。

勝手に期待したのは私だけど。やっぱり期待しただけあって裏切られた時のダメージは大きい。
まぁ…氷室君がそれで喜ぶなら。複雑な心情のままそれを承諾し、氷室君の誕生日の日に氷室君の部屋で、と約束した。


当日になって、小道具があったほうが雰囲気出るかな、と思いエプロンを持参した。エプロンをつけ氷室君が返ってくるのを待ち部屋のインターホンが鳴った瞬間部屋の扉を開け、おかえりなさい、氷室君と微笑んだ。

よし、我ながらナイス。と心の中でガッツポーズまでした私の前でなぜか氷室君は膨れっ面だった。学校か部活でなにか嫌なことでもあったのかな。そう問い掛ければ氷室君は緩く首を振った。

氷室君じゃなくて、旦那さん風に呼んでほしい。


驚くのを通り越して気絶しかけた。氷室君が私と一緒にいる時甘えてくるのはいつものこと。でも、こんな子供みたいな氷室君を見たのは初めてで。かわいい。素直にそう思ったと同時に今日は氷室君をたっぷり甘やかそうと決意し改めてお帰りを言いなおした。…みたいな経緯で冒頭に戻る。


 
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