夢小説

□実渕
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「…7.8度…ちょっと高めね」

朝から気怠さを感じ、起きれずに布団の中でごろごろしていると緩い眠気が襲い、そのまま目を閉じた。何分、何時間経ったかは分からない。再び目を開けた時に玲央が私の隣に腰をおろし心配そうな面もちで私の顔を覗き込んでいた。
ゆっくり瞬きをし、玲央?と問い掛けると、困ったように眉を下げ私の頬に手を滑らせながら大丈夫?と言った。玲央の手が冷たくてもっと、もっとと求めるように擦り寄った。そんな私を数秒眺めた後、玲央は用意しておいたのか、体温計を取り出し熱を測った。

「なにか食べたいもの…ある?」

玲央は小首を傾げながら言った。その声と顔からは心配、という言葉が滲み出ていて。ゆるりと微笑み、お粥、と呟いた。
風邪をひいていても食欲はある。それを伝えると玲央はやっとこさ安心したように、ふ、と笑った。
細められた瞳を見て、あぁ、綺麗だな。と、想う。
玲央は立ち上がって、作って来るから待っててと呟き部屋を出ていった。お粥を食べるなら起きないと。片手をシーツに付き、ぐ、と固まった体を起こす。多少の目眩はするものの、そこまで酷くはない。それよりも頭痛が気になる。熱く、汗の滲んだ手の平を額に当て、そのなんとも言えない温さに、あつい、とぽつり。呟いた。

 
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