夢小説

□氷室
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「う゛−…」


私は朝から苛々していた。お腹を擦りながら起きたばかりの布団にいそいそと入りなおす。普段なら絶対二度寝なんてしない。今日は特別。
女の子なら誰しもが味わう月に一度のあの日。
最近、急に寒くなってきていた。にも関わらず私は分厚い布団を出し忘れ、呑気に寝てしまった。
生理痛は酷い方ではないけれど、流石の私の身体も寒さには堪えるようで。今日は朝から腹痛が酷い。腰も痛いし。
全部自業自得だけど。すん、と鼻を啜り、不貞腐れたようにごろんと寝返りを打つ。

かちり。頭上にある携帯が光り、小刻みに震える。なんだろう。ゆっくりと手を伸ばし携帯を手に取った。ディスプレイを見れば“新着メール一件”と表示されていた。

「…あ」

メールを開き見てみると、氷室君からだった。そのメールの内容を見て、すっかりと忘れていた氷室君との約束を思い出す。そうだ。今日は部活が早く終わるから氷室君とお部屋デートするつもりだったんだ。
申し訳ないと思いつつ、返信する。“今日、やっぱり私の部屋に来ない?”送信ボタンを押すと数秒後に震えだした携帯。

“分かった”の下に並べられた私の身体を気遣う言葉たち。氷室君…!じんわりと目に涙が溜まる。あぁ…私、いい人好きになったな…。


 
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